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2023年07月31日(月)2024年問題 ブルーカラーの花形に迫る「リアル」

 金曜日の「プラス9」では、今月から新たなコーナーが始まりました!その名も「追跡!ニュースのリアル」。トラウデン直美さんが気になるニュースを独自取材し、ニュースの裏側に迫ります。

トラウデンさんが真相に迫ります

 21日の放送で取り上げたのは「物流2024年問題」。来年4月以降、トラック運転手の時間外労働時間が年間960時間に制限されます。運び手の確保が難しくなり、7年後の2030年には全国平均で荷物の35%が運べなくなる、という試算(野村総合研究所)もあります。私のふるさと九州では40%近く......。便利な宅配便を使い慣れた私たちの生活を直撃する問題です。

 そもそも、なぜ「2024」なのかというと、覚えていますか?4年前の「働き方改革」。私たちの放送業界を含め時間外労働の上限を定めた法律が施行されたのは、2019年4月のこと。その際、「業務の特性や取引慣行の課題があることから」(厚生労働省)適用から外れたのがドライバーでした。猶予期間は5年、それが来年切れるのです。

 労働環境の改善につながると期待される一方で、トラウデンさんが実際にドライバーの方に話を聞いてみると、聞こえてきたのは不安の声でした。「労働時間が減ると収入も減ってしまう......」。

 「かつてトラックドライバーは『ブルーカラーの花形職』と呼ばれていて、3年走れば家が建つといわれるほど高収入だったんです」。放送当日の本番前にそう語ってくれたのは、今回解説ゲストとして来ていただいたライターの橋本愛喜さん。ところが時は流れ、いまは賃金が上がりません。低い運賃で荷物を運ぶことが常態化しているからです。運輸会社はスーパーやコンビニなどの荷主と運賃を決め、契約を結んでいるのですが、トラウデンさんが取材した運輸会社が荷主と契約している運賃は、国土交通省が示している「標準的な運賃」の4割以下だというのです。この現状には驚きました。

 なぜここまでの差が開くのかというと、1990年代以降の規制緩和で物流業界への新規参入が増えた結果の競争激化が背景にあるようです。上限を超えて時間外労働をさせると、今後運輸会社側は罰則を受けることになりますが、一方の荷主側は「標準的な運賃」より安い契約を結んでも、罰則を受けることはありません。こうした「アンバランス」もあり賃上げはそう簡単な話ではありません。

 自身も元運転手で、ずばり『トラックドライバーにも言わせて』という著書もある橋本さん。「元々トラックが大好きで、車内で寝泊まりしながら運ぶことも苦にならないという年配の方が多い」とおっしゃっていましたが、仕事は好きだけれど泣く泣く転職といった例が増えるようだと、人手不足はさらに加速してしまうかもしれません。

 現場の声から紐解いていくと、非常に多くの問題が複雑に絡み合う「ニュースのリアル」が分かりました。2024年4月まであと1年もありませんが、どのくらい変革を進めることができるでしょうか。今後も注視していきたいです。

片渕茜

日経ニュース プラス9 キャスター
片渕茜

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