サッカーのワールドカップ日本代表、長友選手の言葉通り「ブラボー!!」でした。強豪ぞろいのグループEを首位通過とは......。ここから初のベスト8、さらにその先を目指すことになりますが優勝経験のあるドイツとスペインを破ったのですから、べらぼうな夢物語ではありません。大会開幕直後11月21日の「マーケット一目瞭然」でコモンズ投信社長の伊井哲朗さんが指摘したように、飲食や観戦、スポーツ用品などなど関連ビジネスもますます盛り上がることでしょう。
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| 田中碧選手の決勝点(日経電子版記事から) |
さて、日本時間きょう未明(2日午前4時)キックオフのスペイン戦。眠い目をこすりながら相手の国歌演奏を見て「あれ?」と思った方は国際情勢に敏感です。選手たちや監督以下スタッフ、誰も歌いません。今大会ではイラン代表も国歌を歌わず、国内で広がるデモに対する連帯と政府への抗議の表明か、と話題になりました。スペイン代表が歌わない理由は非常に明快です。公式な歌詞が、ないのです。もともと主に国王臨席の際に演奏されたシンプルなマーチ。かつて詞をつける動きもありましたが、内戦を経ての独裁を含む複雑な歴史や分離独立問題も抱えるなか、多くの国民が納得できるものは生まれませんでした。
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| 国歌90秒ルールを明記した大会規定 |
国歌は曲調や長さも千差万別です。特にサッカー強国ぞろいの南米では長いものが目立ち、今回出場している初代王者ウルグアイや優勝候補常連のアルゼンチンは通常演奏で5分前後はかかる「2トップ」。しかし代表選手が試合会場でフルコーラスを歌うことは、ありません。現在の規定では「最大90秒」とされているため大幅にカットされています。以前の大会では南米の国歌が演奏途中に打ち切られ、その後サポーターが大合唱のアカペラで続けるという場面もありました。今回は確認したところ、尻切れにならないように最後の盛り上がりの部分を編曲したものが流れています。
4年前、日本がベルギーに大逆転を喫し敗退した前大会。主催国だったロシアはウクライナ侵攻の結果、今大会から追放されました。その国歌は、自由化や民主化を進めたエリツイン政権時代に採用されたものから変わっています。プーチン政権が選んだのは旧ソビエト連邦時代と同じメロディー。まさに国歌は歴史、文化、国のありようを映す「鏡」です。さあサムライブルー、次戦は日本時間6日火曜日午前0時から。どうぞ「日経ニュース プラス9」をご覧になった後、ぜひ試合前にも注目してくださいね。前回準優勝のクロアチアの歌もゆったりとして、趣がありますよ。

日経ニュース プラス9 キャスター
岸本好正
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