経済回復への期待を背景に米国株が最高値圏で推移する半面、日本株は相変わらず、さえない展開が続いています。その原因として欧米に比べた新型コロナウイルスのワクチン接種の遅れや、景気の浮き沈みの影響を受けやすい「景気敏感株」の多さ、そして衆院選を控えた政治不安という日本株独自の要因を挙げる声もあります。
しかしながら足元で本格化している日本企業の2021年4―6月期決算をみると、収益の回復基調は鮮明です。通常なら期初からわずか3カ月の段階で22年3月通期の予想を引き上げるケースはかなり少ないのですが、今回は工作機械のファナックや電子部品の村田製作所などが相次いで通期見通しの上方修正に動きました。にもかかわらず、こうした上方修正銘柄が決算翌日などに売られる例が目立っています。コロナ禍で収益が目減りした昨年の反動で増益率が高くなっている面があるとはいえ、高い競争力を武器に好調な米国や中国向けの需要を着実に取り込んだり、あるいはコロナ禍に対応して構造転換を進めて稼ぐ力を高めたりする企業が多いのも事実です。こうした変化を抜きにして、コロナ感染再拡大に伴う経済再開の遅れという相場全体に共通する懸念材料だけで売られてしまうのは少し行きすぎのような気がします。
「木を見て森を見ず」ということわざがありますが、コロナ禍からの経済回復という先行きを予測しがたい局面にある今は、森(=相場全体)より木(=個別企業)をじっくり観察するほうが、別の風景が見えてくるのではないでしょうか。

日経ニュース プラス9 プロデューサー
森松博士
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