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2023年11月13日(月)そらそうよ 猛虎&猛牛ダブルVの経済効果

 ♪六甲おろしに"そらそうよ"......。球団歌の歌詞が、SNS上では岡田彰布監督の口癖に書き換えられていました。38年ぶりに日本一に輝いた阪神タイガース。9月下旬、セ・リーグ優勝直後に大阪でのクラシック音楽のコンサートに行ったところ、アンコールとしてフルオーケストラの「六甲おろし」が盛大に演奏され、満場の笑いと手拍子、大喝采に包まれました。文化としてもどっしり根付く「タイガース愛」を改めて痛感しました。

ベートーヴェンと並ぶ名曲

 オリックス・バファローズとの日本シリーズは1964年、南海対阪神以来の「関西対決」。かつて日経の大阪本社で、東京で編集する全国向けとは別の近畿エリア向けスポーツ面をつくっていた私としても、感慨深いものがあります。私の当時の(といいますか日経でやってきた)仕事は記者が書いてきた記事に見出しをつけ、写真を選びレイアウトをして紙面をまさに「つくりあげる」作業です。
ゼロがひたすら並んだ12年前の紙面

 いまでも思い出すのは2011年5月21日、阪神が3戦連続で完封負けし連続無得点イニングが32に伸びた試合を報じた紙面です(翌日の22日付朝刊)。けが人続出ということで見出しは「手負いの虎 沈黙」。写真は(権利関係が不明なので隠しますが)ベンチでがっくりと肩を落とす当時の真弓監督。「0」の数字をキーボードでひたすらたたいて横一線に並べました。紙面上に「0」が間違いなく32個あるかどうか、校閲を交え念入りに確認したのを覚えています。

 私が大阪にいた間(2009年-2013年)、阪神は巨人の「メークレジェンド」で大逆転を許して岡田監督が去った直後。4位以下のBクラスというシーズンが目立ちました。一方のオリックスも、その岡田さんが監督に就任したものの低迷が続き最下位となった2012年を最後に退任するという厳しい時期でした。その後も含め長年の喜怒哀楽、多くのファンの思いを抱えつつ実現した関西勢同士の「頂上決戦」。岡田監督ならずとも多くの方から「当たり前やんか、お前」と突っ込まれそうですが、経済効果も「はっきり言うて」莫大なものがあります。

 日経電子版の記事(阪神日本一で商戦最高潮 関西経済に「野球効果」1300億円)によれば9月、阪神梅田本店の売上高は1年前と比べ58%の激増。パ・リーグ3連覇のオリックスの優勝セールを実施した近鉄百貨店(かつては"近鉄バファローズ"でしたね)も売り上げ、客数とも大幅アップしました。

 この記事中にも登場する「ミスター経済効果」関西大学の宮本勝浩名誉教授によると、阪神とオリックスの優勝および日本シリーズ進出による経済効果は関西6府県で1304億円、全国では1449億円に達します。この春、熱狂を生んだWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)のおよそ2.5倍です。

 一方、関西経済連合会のシンクタンク、アジア太平洋研究所の分析では全国で1283億円。ただ、これはリーグ優勝までの数字でクライマックスシリーズや日本シリーズ、優勝パレードまで含めた「確報版」を来月に公表するそうです。どこまで伸びるでしょうか。

 サッカーJ1でも目下ヴィッセル神戸が首位を走り、初のリーグ制覇が視野に入っています。今年のプロスポーツは野球もサッカーも、まさに「アレよアレよ」という間に関西のチームが席巻して終わるかもしれませんね。

岸本好正

日経ニュース プラス9 キャスター
岸本好正

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