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2021年11月08日(月)FRBタカ派の「ツバメ派」宣言

 プロ野球セントラル・リーグは東京ヤクルトスワローズが6年ぶり8度目の優勝を決めました。2年連続最下位からの制覇、おめでとうございます。球団ファンクラブ「スワローズクルー」の名誉会員に名を連ねる出川哲朗さん、村上春樹さん、さだまさしさんをはじめ各界で応援している方々もお喜びのことでしょう。万年「ヤ党」の熱烈なヤクルトファンはマーケット関係者にも、もちろんいます。

 本拠地・神宮球場で著名エコノミストが独り、一塁側スタンドから戦況を見つめているのをみかけ、しばし一緒に観戦しながら思わぬ「経済学の講義」を受けたことがあります。1978年のリーグ初制覇直後に起きた第2次石油ショックをはじめ、バブル経済崩壊後の92―93年の連覇など「スワローズの優勝は経済の大転換点に重なることが多い」とのこと。大変勉強になりました。

 もう1人、強烈な印象の大物がいました。「アメリカの中央銀行にあたるFRBの幹部がヤクルトファン」――。2009年、日本でのシンポジウムに参加したダラス連邦準備銀行のフィッシャー総裁(当時)の講演内容を伝える関係者のメールを最初に見たときは、誤送信かと思いました。主語と述語が、どう考えてもミスマッチです。しかも時はリーマン・ショック直後。講演の最大のポイントは金融政策の危機対応のはず。ウソだろう......と念のため発言録を見たら、本当でした。

 野球好きのフィッシャー氏はかつて東京駐在の時に多くの試合を観戦したそうで「講演の聴衆の中に巨人ファンがいるだろうという大きなリスクのなか、私はスワローズのファンであることを告白しなければならない」。物価上昇を抑えるために利上げなど強硬手段に積極的な「タカ派」として知られたFRB幹部が実は「ツバメ派」だった......という「衝撃の告白」でした。

 その日の講演のサブテーマは「伝統的な金融政策を超えて」。FRBが金融危機の際、「非伝統的政策」である量的金融緩和(QE)に初めて踏み切った直後でした。それから12年、QEは何度も繰り返され、ようやく今週3日に、コロナショック後に始めた国債などの大量購入を減らしていく「テーパリング」が決まりました。やはりツバメの優勝した年に世界の株高を演出してきた金融政策は大きな転換点を迎えそうです。どういう反応を景気や市場にもたらすのか、来週以降しっかりとお伝えしていきます。

岸本好正

日経ニュース プラス9 「マーケット一目瞭然」キャスター
岸本好正

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