又吉直樹、島へ行く。 母の故郷~奄美・加計呂麻島へ

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又吉さん 旅を終えて

東京では厚手のコートを着込まなければ凍えてしまうほど気温が低かった一月の末に、奄美群島の加計呂麻島に行って来ました。奄美大島の古仁屋港から船で三十分の距離にある加計呂麻島は日中なら半袖でも充分に過ごせる暖かい気候でした。
この島は僕の母が生まれ育った場所です。僕が幼い頃、母は口癖のように、加計呂麻島の海がいかに美しかったかを話してくれました。その嬉々とした母の表情を見ている内に、「自分も、いつか加計呂麻島に行ってみたい」という気持ちが強くなりました。
そして、上京を目前に控えた高校生の僕は、母に志願し、母と共に加計呂麻島を訪れました。
しかし、その時の記憶は何故か漠然としていて頼りないものばかりでした。
あれから十五年が経ちました。東京で色々な人と出会い、様々な影響を受けて、あの頃と種類は違えど相変わらず混乱しながら生きている自分の中で、再び加計呂麻島を見たいという気持ちが強まりました。
加計呂麻島の美しい風景は優しく僕を迎えてくれました。自然と人間の境界は曖昧に溶け、島の人達の暮らしを見て、幸福の根源を垣間見れたような気がしたのは、僕のおごりでしょうか。
自分の人生にとって、忘れられない旅になりました。

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