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2017年2月24日(金)夏の都議選へ 権力争いとストレス 木村恭子

 最近、衝撃を受けたニュースは、なんと言っても、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件です。


 正男氏は、日本のメディアの取材にもたびたび応じ、2001年に偽造旅券で日本に入国しようとして空港で身柄を拘束され、日本政府から国外退去処分を受けた際には、来日の目的を「東京ディズニーランドに行く予定だった」と語るなど、どことなく親近感を覚えた日本人も多かったのか、インターネット上では「まさお」の愛称で呼ばれることもしばしば。


 父親の金正日(キム・ジョンイル)総書記が亡くなったのは6年前。正恩氏は5年前から正男氏の殺害を指示していたとの報道もあります。権力を巡り対抗勢力になりうる肉親を殺し封じる構図は、以前に見た韓国ドラマを思い出しました。


 朝鮮王朝第22代正祖の生涯を描いた歴史ドラマ「イ・サン」での1シーン。サンの父親が殺され、王位継承権を巡り若きサンが王位を継ぐことを拒否すると、母親が「生き残るためには、王になるしかない」と語っていました。


 ドラマの舞台は200年以上も前ですが、北朝鮮では、今もまだ同じような事態が起こりうるとは、人間の性はなんと恐ろしく悲しいことでしょう。父親が死んでから正男氏が抱え続けた「死が隣り合わせのストレス」は、想像するには大きすぎます。


 さて、日本国内に目を転じて「権力とストレス」に直接、いま関係するのは、今夏に選挙を控える東京都議会議員ではないでしょうか。特に小池百合子都知事ににらまれている自民党の都議団。私の実家の選挙区でも、自民党公認だった都議が離党し、小池氏が実質的に率いる地域政党「都民ファーストの会」から出馬することになりました。


 都議曰く「都民ファーストの会から絶対に刺客を送り込まれてしまう」


 この都議を含め、自民党を離党した都議2人は当初は、自民党の公認で都議選に出馬し、「都議会自民党」とは別の会派を足場に小池氏と連携するつもりだったそうですが、小池氏周辺から「協力が欲しいならきちんとけじめをつけてほしい」と言われたことから、自民党離党に踏み切った、とのこと(2月20日の日経朝刊)。


 選挙基盤の弱い都議は、いま人気の高い小池氏から狙い撃ちされるかもしれない恐怖は、大きなストレスでしょう。ただ、有権者の前ではせめて「小池都知事の東京大改革に賛成だから」と言って欲しかったというのが、私の率直な感想です。


 そもそも、都議会自民党と対決構図を作っている小池氏を前にして、「自民党を離党しない」「自民党の公認を受ける」「会派は自民党とは別にする」といった戦略でのぞむあたり、どうなんでしょう。


 ただ、都議ばかりを責められません。小池氏自身が自民党を離党していないのですから。小池氏は自民党に進退伺を出し「後は党が判断すること」とのスタンスですが、「進退伺」と「離党届」は違います。自ら離党しない考えを公言している小池氏の進退伺いに結論を出さない自民党に対し、最近はいらだちを覚えている党支持者に会うこともしばしば。


 自民党の中でも東京都の自民党とは闘うが、永田町の本部とは闘わない――という小池氏の意図するところは何なのか? 考えていたら、私にもちょっとストレスが。


 そんなときには、片足スクワット。先日、大学面(2月22日の日経朝刊)の取材でフィットネストレーナーにお会いしたところ、ストレスを受けると意識が他人や周囲にいきがちで、自分の不調に気付きにくくなるそうです。


 片足ずつ、ぐらつかないように足裏で踏ん張りながら、座った状態からゆっくりと立つエクササイズは、バランスを取ろうと集中することで自然と自分自身に意識が向き、ストレスからのダメージを軽減することにつながるそうです。


 春は人事異動や子どもさんの卒業・入学など、環境の変化でストレスを受けがちとも言われます。よろしかったらお試しください。


日本経済新聞
編集委員兼政治部シニア・エディター兼キャスター
木村恭子


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