今回の「運の矢」という話では、臆病者で頼りないものの、人間味あふれる、人間くさい男・天野源助を演じました。最初台本を読んだとき、この人どこへ行くのかな、と、源助がへなちょこすぎて驚きました。格好よく見えてはいけないですし、怖がりながら戦うというのは、普通の立ち回り以上にすごい労力で大変でした。このしんどさは久しぶりに思い出しました。不幸になったり、恥をかいたり、死にたくなったり、ロクなところがない男なんです。自分とは違う、こういう人もいるのか、という人生を歩ませていただけたのは楽しかったです。自分が源助なら、力強い武士となるため、とりあえず腕立て伏せと腹筋から始めようと思いますね(笑)。さあ、天野源助という男がどんな一生を歩むのか、楽しみながら「え?そんなことが?」「それはないよ」と突っ込みながらご覧ください。
今回のシリーズは、池波正太郎先生の時代劇としては珍しい短編で、長編とは全くタッチが違い、皆さんのイメージとは違う面白さを感じていただける作品になっていると思います。地上波民放では時代劇がほとんどなくなっている今、一人でも多くの人に時代劇の良さを感じていただきたいです。池波正太郎という方は、あぁこういうものも書かれるんだと、1話を見ていただいた以上は、12話全部ご覧いただきたいですね。