
祝60周年!これまで、現役だった蒸気機関車や、新幹線の開通などなど・・・
60年の歴史の中で、本当にたくさんの鉄道風景を撮影されたと思いますが、広田さんにとっての、究極の1枚を挙げるとすれば、何ですか?
難しい事言うね。
大体写真を撮ってる時は気合入れて撮ってますし、思い入れもあるんでね。
どれか1枚っていうのは非常に難しいんですよ。
時々言われるんですけども、選びにくくてね。
そういう中でも60年撮ってると
SLがちょうどなくなる頃に撮った写真っていうのはいいなっていうのが多いですね。
それを1冊にまとめた「永遠の蒸気機関車 Cの時代」っていうのを出しまして、
その中に色々出てますけど、
これ1枚ってのは非常に厳しい。
新幹線は新幹線なりに素敵だし、路面電車なんか庶民的だし、SLは力強いし、
軽便鉄道は田んぼの中フラフラフラと行って、終点あるのかな、みたいなね。
どっかで消えちゃうんじゃないかみたいな。
そういう所がまた素敵だしね。
それぞれの鉄道が好きなんですよ。
それぞれ選び出すとみんな良いばっかりでね。
でもね、良いんだけどもじゃあ100点かっていうと、そうじゃないと思います。
もう一つ欲しいなって感じがしてね。
99点。じゃあ、あと1点なんとかしたいなって、それでまた旅に出るわけ。
「いいのが撮れたぞ」っていって旅に出る。
それから「残念、もうちょい」っていってまた旅に出る。
その連続で、いつの間にか気が付いたら60年経ってた。
そういうような感じですね。
飽きないですよね、鉄道撮ってて。
新幹線から何枚、軽便から何枚、そういう事になっていくかもしれませんね。
きっと厳選してね。
路面電車、外国電車もちょっと入れようかなってね。
桜の季節やSLが走るイベントなど・・・
鉄道写真は、毎回場所取りに苦労します。
人気の撮影ポイントで撮影するとき、広田さんはどんな風に対処していますか?
僕はもう、行かない。
頭から行かない。
だから、桜の咲いてる写真なんて、ここ10年ぐらい撮って無いですよ。
それからイベント列車も撮らない。お別れ列車も撮らない。
なんでかというと、普段の鉄道が一番素敵だと思ってる。
普段の鉄道。通勤電車なんか、田園都市線走ってますよね。
向こうの方へ行くと京浜急行が走ってる。山手線も走ってる。
そういう普段の姿を押さえたいわけ。
そんな鉄道が一番素敵だと思うんですよ。
お別れ列車なんてね。これから無くなるのを撮ってもしょうがないと思うね。
行って撮るにしても場所が制約されるし、みんな同じ写真になっちゃうわけですよ。
その日にこの場所で撮るぞって行ったら、ダーって何人も来て、何人も撮るわけですよ。
みんな同じ写真になっちゃう。
やっぱり写真っていうのは個性が大事ですからね。
自分が撮るんですから、自分が撮りたい写真を撮りたい。
そういう意味ではイベント列車とか、お別れ列車。
桜が咲いたから有名ポイントで撮るとか、一切しない。
ま、有名にしちゃった所もあるけどね。
普段の列車は、生き生きしてる。
眺めてるとホントに生き生きしてるんですよね。
運転手さんも必死で働いてる。
かっこよく運転してますよ。真剣に。
お別れ列車とかね、イベント列車はなんかそこが違うような気がする。
お別れ列車やイベント列車でカメラマンが何人もいたりすると、
乗ってるお客さんなんかも、ワーってやって騒いでるからね。
神経が定まらないんでしょうね。
運転手さんもそう、もちろん安全には運転してるんでしょうけどね。
客車そのものも、なんかちぐはぐな感じだし。
そこへいくと普段の鉄道っていうのは、
ちゃんとそれなりにダイヤ通りに、決められた様に走ってますから、
しかもカッコいいんだよね。
それが一番。他に人がいないから、自由に見られるわけですよ。
グオーって向こう行くのも見える。
普段の鉄道を撮るのが僕は一番好きだし、皆さんにもそれを勧めたいと思いますよ。
そうするとお別れ列車みたいにワーっと人が集中しないですしね。
そんな所行ったって何にもならない。はっきり言うと。
本数が少ない田舎の鉄道など、
チャンスが一度きりの撮影状況で、緊張への対処法などありますか?
SLが向こうからタッタッタッタなんて来ると、もう武者震いですよ。
その時こそ、三脚あった方が良かったかなって思うんだけどね。
今はブレ防止が付いてるから、カメラに任せようって、心を沈めてカチャってね。
もう落ち着くしかないよね。
1日2本とか3本、そういう電車があるんですよね。
北海道にもあるんですよ。1日3本なんて。
そうするとね、やっぱり行っちゃうとね、寂しいですよね。
ずーっとそこで待ってなきゃいけないから。
でも、レール沿いを歩いたり、民家があれば民家のほうへ行ってみたり。
商店があれば覗いてみたり、
色々そんな事やっている内に、あっという間に時間が経っちゃう。
またローカル線のいい所は、そういう所にあるんだよね。
鉄道だけじゃなくて、鉄道を取り巻く色んなシチュエーションが素敵なんで、
そういう所も写真に収めたりする。
ですから昨日はね、東急の世田谷線を撮ってたんですけども。
世田谷線の車両だけじゃなくて、
周りの路地とか路地を突き当たったところにいた
犬だとか、猫だとか、鉢に飼ってる金魚だとかね。
そういうものを撮ったり、
遅咲きのバラを撮ったり、線路際に咲いてる菊の花を撮ったり、
色々撮ってきましたけど。
子ども達が先生に連れられて、歩いているのを眺めていると、
そうだ撮りたい、撮ろうなんてね。
前だけ見てる時は忘れちゃってるの、撮るのをね。
忘れるってのはよくあるのはね、自分の食べるご飯を撮ろうと思って、
例えば旅先でね、どっかでラーメン屋さん入ったと。
そうすると、ラーメン撮ろうと思うわけよね。
でも、出てくると食べちゃう。
半分ぐらいなくなってから、撮るの忘れてたって。
このラーメン、ブログに出したかったんだけどな。どうしようかな、今からじゃなって。
隣の人のすいませんって撮らしてもらうわけにいかないし、
よくあります、夢中になっちゃうこと。
夢中になんないと、写真撮れないからね。
別にシャッター押せなくてもその時はね、夢中になる別のものがあれば夢中になる。
アリンコが立ってて、あれ何を持ってくんだろうとか、ずーっと見てたりね。
そんなことしてるうちに電車が行っちゃたりね。
それはそれで楽しい。
沿線は離れないけど、色んな物を撮ったり見たりしてますね。
沿線からはあまり離れないね。
だから北海道行って阿寒湖知らないからね。
摩周湖?え、それどこにあるの?って、時計台はこの前見つけたんだけどね。

1935年東京生まれ。鉄道好きの少年として成長し,中学3年生のとき,初めて鉄道写真を撮影.高校時代には鉄道趣味各誌で写真や紀行文を発表し,鉄道ファン同士の交流を深める。1960年よりフリーランスの写真家として活動。1968年の初個展「蒸気機関車たち」で独自の表現世界を展開して評判となり,鉄道写真の世界を社会にアピール。日本鉄道写真作家協会の初代会長をつとめるなど,「鉄道写真の神様」として日本の鉄道写真界を牽引する。1999年より『レイル・マガジン』増刊としてイヤーブック『鉄道写真』を編集し,自身の新作・旧作を発表する一方で,鉄道写真界の先人たちの仕事を紹介・再評価するなど,アマチュアを啓蒙する幅ひろい活動を展開中。鉄道関係の著書に,『永遠の蒸気機関車』(日本交通公社),『動止フォトグラフ 国鉄主要車両編』(交友社),『ローカル線を歩く—小さな四季の旅』(小学館)など多数。