写真家たちの日本紀行 大晦日リクエスト6時間スペシャル 2010年12月31日(金)あさ8:00~午後2:00

あなたの質問に答えます 写真家突撃インタビュー

ハービー・山口 編

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風景や家族ばかり撮っていましたが、
番組を見て、もっと「人物」を撮ってみたくなりました。
人の表情を自然で、かつ豊かに撮るために、心がけていること、大切に思っていることなどはありますか?

街中で突然、素人の方に声をかけて写真撮らせてくれますかって言うと、
なんだなんだって身構える。
それは普通のリアクションなわけですよ。
ところがそこにちょっとした言葉とか、カメラマンの態度で、
被写体になってくださる方々の、心を開かせるアクションがあるんですね。

その一つは、意識的には相手をリスペクトする。
この人は善意でもって写真を撮ってるんだって体ごとわかってもらう。
そうすると安心しますよね。
例えばおじいちゃんが公園でお孫さんと手をつないで歩いてたとします。
そうすると「お孫さんかわいいですね。いくつですか。おじいちゃんといいな。
すごくいい雰囲気なんで一枚よろしいですか」って2、3相手を褒める。
そうするとこのカメラマンの方は、
私たちのことを褒めてくれるんだと思って、それはいい気分じゃないですか。
で、心を開いてくれるってことになる訳ですよね。
笑顔を作ってもらうには、
じゃあ、おじいちゃん笑って下さいって言ってもいいけど、
それじゃあ、笑えない人もいるんで、その場合は歯を見せて下さいっていうだけで、
結果的には笑顔になるってことになりますよね。

それと若者とか、男の人とか、女性でもいいけど、
一人の場合はね、ティーンエイジャー以上の人だったら、
一番いい顔して下さいって頼み方すると、すごく、自分の人生観を反映したような、
そういう表情になりますよね。
実は、これは4、5年前に中目黒に住んでるアマチュアカメラマンの方が
僕に伝授してくれたんですね。
そのおじさんに僕がプロだとは知らせずに、
写真を撮らしていただいたんですよ、通りがかりで。
その方がハイアマチュアで私も長年写真やってきましたけどって、僕に語り始めたんですよね。
いい顔して下さいっていうのがこれ、いいんですよ。
あー、なるほど、じゃあ、今度僕も使わせていただきますからって言って、
その言葉を2、3回使ったら、緊張はしないんだけど、
自分の責任を持つようになりますね。
それはそれでいい顔ですよ。いい表情ですね。

それともう一つ、
目線下さいっていうのもいいですけど、
それじゃあ目力が足りない場合は、レンズの奥を見てくださいって言うと、
え、何って見た瞬間に、目力が出るんですよね。
その瞬間にシャッターを切る、と。

一番気を付けるのは、被写体をリスペクトする気持ちを持つ事ですね。
それが大前提でしょうね。
一瞬の出会いの中で、他の通行人の中で、抜群にキレイだとか、スタイルがいいとか、
お孫さんを抱っこしたおばあちゃんのその仕草とかが、際立ってるとか、
一瞬の特徴をつかんでるわけですよ。
やっぱり。カメラマンは。

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ハービー・山口

1950年東京生まれ。大学で経済専攻。卒業後、1973年にロンドンに渡り、およそ10年間を過ごす。ロンドンでは、一時期ツトム・ヤマシタミュージカル劇団レッド・ブッダで役者をしていたこともある。一方、折からのパンクムーブメントを実体験し、70年代の生きたロンドンの姿を写真に記録するようになった。特に、ロンドンのロックミュージシャンの撮影では高い評価を受けた。帰国後もヨーロッパと日本を往復し、アーティストから巷の人々までを、気取りのない優しい表現のモノクローム作品に残している。その飾らぬ清楚な作品を好むファンは多く、写真集や写真展の他にエッセイ執筆、ラジオのDJ、音楽番組などで活躍し、写真家のジャンルを越え幅広い活動で人気を得ている。