
撮影地はどうやって決めているんですか?
自分で歩くんです。
列車乗ってみてて、この辺がいいなとかね。
で、降りるわけ。
で、歩いてみる。
例えば列車のA駅にいて、今来たほうに戻るってのもやりますけど。先の方へ進む事もある。
そうするとまだ見て無いものがずーっと、周りの風景が展開する。
それは楽しいですよ。
トンネルがあって、あー行けないって事もありますけどね。
そういうハプニングみたいなのがすごく面白い。
知らない人に会ったり、犬に吠えられたり、木の実拾ったりね。
そういうものも楽しいんですよ。
鉄道写真撮るだけじゃなくてね。
そういう色んな楽しみをしている内に、鉄道がまた撮れるわけ。
立ち話して、後ろ振り向いて立ち話してる内に、あ、こんなアングルあったんだって。
真っ直ぐ行っちゃったらわかんなかったのになって、
どこで撮っていいかってのは自分で発見するんです。
僕もそうですけども、これから撮る方も、
撮影地ガイドを見たり、皆さんが撮ってるのをいいなと思って
そこに行ってみようって言うんじゃなくて、
やっぱり自分で撮りたい写真を自分で探すんです。
それが一番面白い。
それでいいところ見つけた時はね、小躍りですよ。
やったぞって言ってね。だれも知らねえだろここはって。
僕らが始めた頃ってのは、撮影地に行って人に会うなんて事はなかったね。
たまーに人に会うと、あ、あそこ行ったら人がいたよ。
写真撮ってるんだよって、そんな調子でした。
今はちょっとした所行くとね。いっぱい人がいてね。
それで、何人もいる時に、人の後ろから撮るってのは、難しいんでね。そん時だけ、教えますけどね。
皆さん必ず三脚立ててる。これは自分の場所ですよって三脚立ててる。
それも目の高さにカメラが来るように立ててる。
ですからその前に出ます。
仕事なんかでどうしてもここでSLを撮らなければいけないって時には、
そこの場所行くと、やっぱりいるんですよね。
そういう時には「すいません。一番前に座らせてもらっていいですか、立ちませんから」ってしゃがむと、
しゃがんだ方がいい写真撮れるんですよ。
三脚高くしてるとブレるんです。フラフラして。
三脚は必ず低くするんです。1万円の三脚が2万円になりますよ、低くすると。
一番前でね。大体手持ちですけどね。
三脚立てると悪いから、手持ちで撮っちゃう。
時には、撮影に来てる人たちも入れて撮っちゃう。それから乗客入れたりね。
運転手さん入れたりね。沿線に入ってるお花入れたりね。
大きな木があって素敵だなと思ったらそれを入れたり、色んなものを入れて撮る。
自分がこう撮りたいっていってね。
出掛ける前から、構成なんか決めて行くんじゃなくて、あるものを頂いてくるわけ。
そこにあるもの。
落ち葉がハラハラって散ってきたら、
落ち葉がハラハラって散るとこいいな、タイミング良く来ないかな、とかね。
畑にキレイにキャベツがダーっと一列になってる、それじゃキャベツ入れて撮ろうとかね。
橋がある。キレイな橋だな、ちょっと古めかしいけど素敵じゃないかとか。
うまく人が来るとそれも入れて撮っちゃう。車が来たら車も入れて撮る。
そういう風に決めずに、その場で見たものを素直に頂戴してくる。
そういう写真がほとんどです。
もちろん周り入れずに機関車だけ、動輪のアップってのもありますけどね。
その時、その時でね。状況に応じて、頂戴してくるわけです。
あつかましくこっちからアプローチしない。
みんなね、与えられたものを頂戴しますっていう感じでいるわけ。
そういう目で見ると、どこで撮ればいいのかなって事はなくなる。
どこでどうやって撮ったらいいんですかっていう質問には、質問された方には、
今のお話を聞いて頂ければ、少しは見えてきたんじゃないのかな。
見えてくるんじゃないのかなと思いますけどね。
鉄道撮影での、駆け出し時代の失敗談や苦労話など、ありますか?
最初の頃は、僕、鉄道撮ってるって言えなかったの。
何写真撮ってるんですかって聞かれたら、まー色々とか言ってね。
鉄道っていうと、え、この人おかしいんじゃないって言われる。思われる。
そういう風に、珍しかった。
子どもっぽいっていわれるのと、なんか違うんじゃない、どっかずれてるんじゃないとかね。
そういう目で見られてた。
だから、鉄道写真が今日になるまでは大変な苦労だった、ホントに。
何を苦労したかっていうと、それですね。
一般の人に鉄道の良さ、鉄道写真の面白さを分かってもらう。
だからこれは、ホントに色々やりました。
やっとですね。
最近ね、自分自身でも鉄道撮ってますっていえるようになったのは。
不思議でしょ。
でもね、こうなるだろうとは思ってましたけれども。
っていうのは、皆さん潜在的に乗り物が好きなんです。子どもの頃からね。
でも、大人になって隠してるだけなんだと、そう思った。
やがて出てくるなとは思ってましたけど。
でも、ここまでとはね。思ってませんでした。
今後、これが継続していくと思います。廃れないです。ブームじゃないですから。
みんな鉄道好きなんですよ。僕もその一人です。
みんな隠しとくわけ。
会社で、鉄道好きなんていうと、あーあれおかしいよ、なんて思われるといけないから、
みんな黙って、口にチャック。
最近はそれを言えるようになったからね。
いやー実は僕も好きで。あ、課長もそうでしたかなんて。そういう風になってきた。

1935年東京生まれ。鉄道好きの少年として成長し,中学3年生のとき,初めて鉄道写真を撮影.高校時代には鉄道趣味各誌で写真や紀行文を発表し,鉄道ファン同士の交流を深める。1960年よりフリーランスの写真家として活動。1968年の初個展「蒸気機関車たち」で独自の表現世界を展開して評判となり,鉄道写真の世界を社会にアピール。日本鉄道写真作家協会の初代会長をつとめるなど,「鉄道写真の神様」として日本の鉄道写真界を牽引する。1999年より『レイル・マガジン』増刊としてイヤーブック『鉄道写真』を編集し,自身の新作・旧作を発表する一方で,鉄道写真界の先人たちの仕事を紹介・再評価するなど,アマチュアを啓蒙する幅ひろい活動を展開中。鉄道関係の著書に,『永遠の蒸気機関車』(日本交通公社),『動止フォトグラフ 国鉄主要車両編』(交友社),『ローカル線を歩く—小さな四季の旅』(小学館)など多数。