今年はプロ野球が盛り上がっています。セ・リーグでは広島東洋カープが25年ぶりに優勝、横浜DeNAベイスターズが初めてクライマックスシリーズ進出を決め、広島と横浜の街にファンの歓喜の声が響きました。パ・リーグも残り10試合を切って、福岡ソフトバンクホークスと北海道日本ハムファイターズが、最後の直接対決を終えてもなお大接戦と、こんな展開はみたことありません。
札幌と福岡は今日もファンがハラハラドキドキ、果ては祝い酒か自棄酒か。広島優勝による経済効果は 330億円との試算もあり、ファンの消費による景気下支え効果も期待できそうです。
筆者は酒もタバコもやらず、音楽や美術の素養もなく、人に言えるほどの趣味もない、おもしろみに欠ける男なのですが、数少ない道楽の 1つが野球観戦です。この時期、週末はだいたい神宮球場のネット裏で東京 6大学野球を観戦しています。贔屓のプロ球団は日本ハムファイターズで、今年は東京ドームの主催試合のほか、札幌ドーム、ビジターでは西武プリンスドーム、京セラドーム大阪(ドーム球場ばかりですね)など、合計15試合ほど足を運びました。
プロ野球はこれまで、何度か逆風の時期がありました。サッカーJリーグが開幕した1992年、このときは長嶋茂雄さんが巨人の監督に電撃復帰し、人気を盛り返しました。2004年には当時の近鉄バファローズがオリックス・ブルーウェーブと合併し、一時は「 1リーグ制へ移行か」という危機的状況になったこともあります。
その後、各球団は巨人戦のテレビ放映権に依存した経営スタイルを改め、地域密着を進めたことでファンの裾野が広がり、今日の繁栄につながりました。長年プロ野球を見てきた者にとって、球場にあれだけの女性ファンがつめかける風景は奇跡のように思えます。
そんな日本のプロスポーツ、ビジネスとして捉えると、まだまだ発展途上です。米国では今年、スポーツビジネスの市場規模(売上高)が60兆円に達し、自動車産業の57兆円を上回る見通しとなりました。一方、日本のスポーツビジネスの市場規模は 5兆円に過ぎません。
米国の球場はスマートスタジアムと呼ばれ、最先端の設備で観客を楽しませます。球場内は Wi-Fiフリー、観客は自分のスマホで、どこのトイレが混んでいるかなど、様々な情報を知ることができます。メニューの画面を開いてクリックするだけで、飲み物や食べ物を席まで持ってきてくれます。決済はすべてカードでオンライン。小銭は不要です。
ちょっとよそ見してホームランを見逃した、今のファインプレーもう一回見たい、などという時は、手元のスマホですぐに見たいシーンを再現できます。日本でもこんな球場が早くできてほしいものです。
今年、英国のパフォームグループがJリーグの放映権を10年2100億円で購入して話題になりました。ケーブルテレビやインターネットテレビなどを通じたスポーツ中継のビジネスは、これからますます拡大していくでしょう。ビジネスとしてのスポーツは、成長余地という点で日本の魅力が大きく、今後も様々な投資の機会を呼ぶことになるでしょう。
IoTの時代、株式市場でも次々と新しいビジネスが登場し、急成長していきます。スポーツビジネスがやがて、一大産業となる時代がやってくるかもしれません。さて、今週末も球場へ行こうかな。
本経済新聞 編集委員兼キャスター
鈴木亮
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