この番組はBSテレ東4K(4K 7ch)で
超高精細な「ピュア4K映像」をご覧いただけます

ニュース報道の心

2016年8月19日(金)「旬サイ、寒ブリ、ハツ鰹」 山川龍雄

今回は先日、番組で披露した「旬サイ、寒ブリ、ハツ鰹」という、私が人前でよく
話す「持ちネタ」を改めて、紹介します。仕事を進めるうえで、きっと役立つ場面が
あると思います。


 「旬菜、寒ぶり、初鰹」は、いずれも季節の食材を表す言葉ですが、これは食べ物
としておいしいだけでなく、ビジネスパーソンにとっても、おいしい言葉です。とり
わけ新聞記者、雑誌の編集者、テレビの報道関係者などは、好物にしています。


 例えば、オリンピック。日本人選手の活躍もあって、連日、盛り上がっていますが、
新聞紙面を広げると、「最」「ぶり」「初」という言葉がしばしば躍っています。例
えば、こんな具合です。


 「卓球シングルス福原、自己(最)高のベスト4」
 「体操男子日本、12年(ぶり)団体金メダル奪還」
 「伊調4連覇、女子史上(初)、レスリング女子」


 つまり、「旬サイ(最)、寒ブリ(ぶり)、ハツ(初)鰹」というわけです。スポ
ーツ関連だけではありません。経済ニュースでも、たびたび登場します。例えばこん
な具合です。


 「ドンキHD、16年6月期純利益が過去(最)高」
 「7月の輸出14%減、6年9カ月(ぶり)減少幅」
 「アップル、中国(初)となる研究開発拠点」


 メディアに携わる人は、3つの言葉を好んでタイトルに使おうとします。この言葉
が付くと、何となくニュースバリューがアップしたように見えるからです。


 このことを頭に入れておくと、仕事の様々な場面で応用がききます。例えば、プレ
スリリースの書き方です。宣伝や広報、マーケティングに携わる人にとっては、とて
も重要だと思います。例えば、新製品をPRするために、どんなリリースを作成する
か。ぜひ「旬サイ、寒ブリ、ハツ鰹」を思い出して、この表現を盛り込むことを考え
てみてください。「この新車は、このカテゴリーでは、燃費が(最)高」「この飲料
は、このカテゴリーでは(初)のカロリーゼロ」といった具合です。


 メディア関係者は、いつも時間に追われています。企業の方には申し訳ないですが、
プレスリリースの文面を最後まで読んでいる暇などありません。例えば、新聞社の記
者やデスクなら、大量に配信されるプレスリースの見出しや本文の最初の数行だけ読
んで、記事にするかどうかを判断します。その際、3つの言葉が入っているかどうか
は、判断材料になります。


 また、新聞は版を重ねるごとに、新しいニュースが飛び込んでくるため、もともと
あった記事を削る作業が発生します。最初は大きな扱いだった記事も、最後の版では
扱いが小さくなっていることが、しばしばあります。この時にも、3つの言葉が見出
しに入っているのと、入っていないのとでは、デスクの心象が違います。


 テレビの報道番組も同じです。生放送で時間が押してくると、紹介するニュースの
本数を減らして、時間を調整しようとます。その際、どのニュースをボツにするか。
ここでも、3つの言葉は防波堤になります。


 「旬サイ、寒ブリ、ハツ鰹」は、メディアの大好物━━。ゴロも良いので、このフ
レーズで覚えておいてください。仕事で役立つこと請け合いです。


記事は日経プラス10クラブ会員向けのメールマガジンで毎週金曜日に配信しています
詳しくはこちら⇒http://www.bs-j.co.jp/plus10/club/

次へ 前へ コラム一覧へ