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ニュース報道の心

2016年4月8日(金)「こんな見方もあるよ」という姿勢 鈴木亮

新年度に入って、日本株相場が大荒れです。年初は世界的に大荒れでしたが、今回
は局地的な嵐で、日本株1人負け状態です。


 4月になって日経平均株価が1000円も急落したのは、急激に進んだ円高が大きな要
因でしょう。長く1ドル111-114円あたりのレンジにあった円相場が、一時、107円台
まで上昇し、驚かれた投資家も多かったと思います。


 日経平均も1万6000円を割り込み、閉塞感が強まってきました。会社の窓から外を
見ると、千鳥ケ淵や皇居の桜が今を盛りに春爛漫なのですが、相場の方は花冷えで
す。テレビや新聞でも、先行きの悲観論が増えてきました。


 私は今回の下げは一時的なものだと思っています。円高が一時的だと思うからで
す。米国はいずれ利上げに動く時期が来ます。一方、日本は緩和基調が続き、追加緩
和への期待も高い。普通に考えれば、先行きは円安でしょう。企業経営者のマインド
も徐々に好転していくと思います。


 こういうことを語ると、相場がわかっていない、万年強気だ、いい面ばかり見過ぎ
ている、といった批判の声が上がります。同じ材料でも、見方によって、強材料にも
弱材料にもなります。例えば、原油価格です。原油安は資源国の経済を疲弊させ、石
油セクターのウエートが高い米国株指数に悪影響を与えます。一方でガソリン価格の
下落は米国の市民生活にプラスですし、資源輸入国の日本にもメリットが大きいで
す。


 日銀のマイナス金利政策への評判も芳しくありません。4月4日付けの日本経済新聞
朝刊25面に弊社、芹川洋一論説主幹の執筆した「ネット社会 問われる新聞」という
記事が掲載されています。私は新聞記事を読んで、久々に深い感銘を受けました。記
事では、改革案や提案が出てきた時、「逆効果だ」「無意味だ」「危険だ」などと訳
知り顔にすぐさま切り捨てる。これが陥りがちな報道のわなだと指摘しています。


 世の中の大勢が1つの方向性や1つの側面に光を当てる。それは往々にして批判や悲
観、切り捨てに傾くことが多いように思います。相場でも経済施策でも政治でも、批
判や切り捨てが、冷静な見方、反骨精神などと評価されることも多いでしょう。それ
でも、「こんな見方もあるよ」「捨てたもんじゃないよ」という声を、ささやかでも
発信したい。日経プラス10という報道番組を通じて、私はこの姿勢を忘れずにいたい
と思います。

               (日本経済新聞 編集委員兼キャスター 鈴木亮)


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