日銀の追加金融緩和で、年初からの日本株の動揺はひとまず収束するかなと、思っ
ていたのですが、まさかこういう展開になるとは思いませんでした。
今の世界の市場をみてみると、「落ちるナイフはつかむな」という相場格言を思い
出します。行くところまでいかないと、市場は冷静さを取り戻せない。何年かに一度、
こういう状況になることがあります。
いつナイフが落ちきるのか。日経平均株価で1万5000円か。円相場で110円か。今の
総弱気の雰囲気はちょっと異常な事態だと感じます。
日本株相場をみると、売られすぎのシグナルがあちこちで点灯しています。3メガ
バンクの株価純資産倍率がそろって0.5倍を下回りました。これはアベノミクス相場
が始まる前、2012年秋でもなかったことです。一方で配当利回りは5%を超えている
ものもあり、マイナス金利の影響を過度に織り込んでいるようにも見えます。
騰落レシオ、株式益利回り、株価収益率など、あらゆる投資指標が底入れを暗示し
ています。
市場の流れが悪いときは、こうしたシグナルもなかなか反映されないものですが、
いずれその時はやってきます。下げ続ける相場などありません。
もうひとつ、こんな相場格言があります。「休むも相場」
果敢に買い向かうのもいいですが、しばし休んで時を待つ。株式投資にはそんな
時期があるものです。アベノミクス相場が始まって、しばらくそういう機会がなか
ったですが、個人投資家には、期末までに成果を出さねばならないといった制約は
ありません。
半年後、この国はどうなっているかと考えれば、必ずしも悲観一色になる必要は
ないのではと考えます。今のような状態のまま参院選に突入するというシナリオは、
政府自民党は避けたいでしょう。
企業経営者もこのままシュリンクしていいとは思っていないはずです。賃上げ、
設備投資、自社株買いなどできることは、まだまだあります。
朝の来ない夜はないと言います。いざその時が来たら、世界にみせてやりましょ
う。ニッポンの投資家の底力を。
(日本経済新聞社編集局 編集委員兼キャスター)
記事は日経プラス10クラブ会員向けのメールマガジンで毎週金曜日に配信しています
詳しくはこちら⇒http://www.bs-j.co.jp/plus10/club/