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2019年7月5日(金)通貨か資産か 森松博士

 代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの荒い値動きが続いています。6月中旬から騰勢を強め、心理的な節目である1万ドルの大台を回復。余勢をかって1万3800ドルの年初来高値を付けた後、足元では再び下げに転じました。


 6月に急騰した理由については米中貿易戦争を警戒した機関投資家の待避マネーが株価との連動性の低いビットコイン市場に流入したとの見方や、一部の投資家が他の仮想通貨との取引に絡めて価格を釣り上げている、との説も出ました。ただし、米中首脳会談で貿易交渉の再開と関税引き上げの先送りが決まったことでマネーの待避先としてのニーズが一服。さらには最近、価格つり上げの売買も減少傾向とみて一気に売りが膨らんだ、というのが実情のようです。


 今後も思惑的な売買で値動きが大きくなりそうな形勢ですが、こうした値動きをみていると「通貨」というものの本来的な価値を考えさせられます。教科書的にいうと通貨にはモノの価値を示す「尺度」、売買を媒介する「交換」、そして将来のために価値を「保存」するという3機能があります。この観点でいうと、ビットコインは価格が乱高下しており、上がっているときは「まだ上がるからお金として使うまい」となるし、下げているときは「不利だから使うまい」となりがちです。しかも決済に使える実店舗はまだまだ少ない。言い換えれば消費者が決済の手段として広く使うようになることが通貨の条件でもあるわけで、その意味でビットコインは投資の対象ではあっても、通貨として十分な機能を満たしているとは言えません。「仮想通貨」という呼び名が「暗号資産」に変わった根底には、こうした事情もあるとみられます。


 その意味でアメリカのフェイスブックが2020年にも投入する「リブラ」には期待がかかります。裏付けとなる資産を持ち、価格変動のリスクを抑えて決済に特化。
何より27億人の潜在ユーザーを抱え「使われる」デジタル通貨になる可能性を秘めています。各国の金融当局は金融システムや通貨秩序への影響を警戒していますが、健全なデジタル通貨市場の育成に向け、その行方を見守りたいところです。


日経プラス10プロデューサー
森松博士


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