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2017年4月21日(金)1枚の写真が物語る米政権内のバトル 滝田洋一

1枚の写真が物語る米政権内のバトル


 時に1枚の写真は100の議論より雄弁に真実を物語る。この1枚もそうだ。時は4月6日夕(米国時間)、折しも米中首脳会談の夕食会の直前、フロリダ州の冬のホワイトハウスにある作戦司令室である。議長席に座るトランプ米大統領。向かって左3人目には、大統領が最も信を置くクシュナー上級顧問(長女イバンカさんの夫)。


 2人に挟まれて、ムニューシン財務長官とロス商務長官が座る。ロス氏はトランプ氏の向かって左隣だ。向かって右隣にはティラーソン国務長官。その後ろにはコーン国家経済会議委員長が身を乗り出すようにして座る。ムニューシン、ロス、コーンの有力経済閣僚3人が、シリア攻撃のような安全保障上の重大事にも、顔をそろえている。


 これをオバマ政権のころと比べてみよう。2011年に米特殊部隊がアル・カイーダの首謀者、オサマ・ビン・ラディンを殺害した際の作戦司令室。オバマ氏と並ぶ、もうひとりの主役はヒラリー・クリントン国務長官であり、経済閣僚の姿などみえない。


 ここに「G&G」政権とされる、トランプ政権の本質が浮き彫りにされる。つまりジェネラル(将軍=軍)とゴールドマン・サックス(=金融界)の政権ということだ。そう思って、写真を見直すと気になる点がひとつ。政権で権勢を極めたバノン首席戦略官・上級顧問が入り口のドア近くの壁際に追いやられているではないか。しかも表情は見るからに憮然としている。


 過激な右翼思想を持つとされるバノン氏は、今や政権内では崖っ縁。バノン氏を後ろ盾とする国家通商会議のナバロ委員長の影も薄れ、日本との通商問題ではロス商務長官が前面に出てきている。つまり政権内では「G&G」がリアリスティック(現実主義的)な路線を主導しつつあることをうかがわせる。


 4月19日の「プラス10」ではこの写真をご紹介したが、百聞は一見にしかず。これからも論より証拠のファクトやデータを提供して行きたい。


日本経済新聞
編集委員
滝田洋一


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