日経おとなのOFF
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"上皮を滑って行き、また滑るまいと思って踏張った"のは、他ならぬ漱石自身だったのかもしれない。
だからこそ、漱石が見出した開化するなかでの"本物""オリジナル"の意味は、とてつもなく大きいように思う。次男・夏目伸六が、「父は生来の激しいオリジナルな性癖から、絶えず世間一般の余りに多い模倣者達を―平然と自己を偽はり、他人を偽はる偽善者達を―心の底から軽蔑もし憎悪もして居たに違ひない」と綴っているように、誰よりも"日本らしさ""その人らしさ"というものを考えていたのではないか。
『吾輩は猫である』『草枕』などに和的伝統への慧眼が見られるのも、卓越した客観的視点を持つ漱石だからこそで、同時に相反する興味や趣向を同席させ続けたことが、漱石の精神状況を蝕んでいったのは自然なことのような気がする。自らの精神を犠牲にしてまで近代化する日本を見つめていたと考えればこそ、「夏目漱石先生」と兜を脱がずにはいられない。
今一度、"オリジナル"の意味を考えて、自分の時間を使ってほしい。
それだけで、松栄亭に足を運ぶ意味がある。
「うちは魚料理が少ない。父(3代目)と相談して、冬の旬の食材を使った新しい料理を作ろうと思って考案したのが『メカジキソテー』。伝統を引き継いだ料理が多い中で、10年以内に加えた新しいメニューですから、ぜひ食べてみてほしいですね」(4代目)

上滑りに滑っていくだけではない、オリジナルにしかできない進化。
その味を求めに、一度、訪れてみてはいかがだろうか。
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