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Bunjin東京グルメ

第15回 『染太郎』
~無頼派の心の拠り所へ~(前編)

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2014.03.28

頼派と呼ばれた作家の一群がいる。坂口安吾、太宰治、織田作之助、高見順、田中英光、檀一雄・・・彼らは、文学の中に"戯作"の精神を蘇らせようとした一団だった。浅草にある『染太郎』は、彼らが足繁く通いつめ、丁々発止を交わしていた愛すべき場所である。
中心人物・坂口安吾は、『FARCEに就て』の中で記している。

「ファルスとは、人間の全てを、全的に、一つ残さず肯定しやうとするものである。(中略)否定をも肯定し、肯定をも肯定し、さらに又肯定し、結局人間に関する限りの全てを永遠に永劫に永久に肯定肯定肯定して止むまいとするものである。」

笑劇、道化芝居のことを指すファルスは、無頼派が目指した戯作性そのものだ。安吾は、未来永劫、どの時代に生きようが人間は人間であり、「人間は変わってしまった」などと嘆くことはないという。戦後、『堕落論』を発表した際に、「戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ」と説いたのは、まさしく彼らの旗印そのものである。負けることも肯定し、"生"自体を鯨飲せよ。

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