日経おとなのOFF
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ホンモノ物語 上質なモノに秘められた歴史やこだわりのエピソードを紐解く
銅製如雨露
材質の研究を重ねた結果、軽くて丈夫な如雨露づくりに適した銅板の厚さは、0.3ミリ。筒状にした銅板をプレスし、形を整えます。
こうして作られる長い竿が、銅製如雨露の特徴の一つ。奥に並べた盆栽にも楽に水やりができます。更に、先端のハス口は盆栽の種類や水をまく場所の広さに応じて付け替えが可能。
そして、ここからは銅製如雨露、最大の特徴、強度の高さを実現する、はんだ付けがはじまります。一般的に薄く、目立たない様に付けられる、ハンダ。しかし、根岸さんは見た目にはこだわらず接合部にハンダを流し込み、更に、その部分を覆うように表面にも厚くハンダを塗っていきます。
「ハンダをふんだんに使い、強度を高める。」
「使う人が長きに渡って愛着が持てる如雨露をつくる。」
これが先代の教え。洋一さんは父の意思を引き継ぎハンダゴテを握り続けます。
ハンダ付けでのもう一つのこだわり、1300度以上の高温のコークスでコテを温めること。コテから離れたハンダはすぐに固まってしまうため、温度が低い一般的な電気ゴテでは隅々まで流し込むことができません。ハンダ付けに影響するため、工房内にはエアコンがありません。夏場には40度を超える過酷な作業となります。
洋一さんの元には、先代が20年以上前につくった修理品が持ち込まれます。接合部分を溶かし、分解。傷みが激しい部分だけを、新しい部品に取り替え、先代の如雨露に再び命を吹き込みます。
使う人のためを思い、追求された品質。職人のこだわりを是非一度、お試しください。