昨年秋に米中の貿易戦争が深刻になって以来、世界の株式市場は、ほぼ一貫して「いいとこ取り」の反応をしてきたように思えます。
例えば米国。雇用統計の数字が悪かったときは「雇用の停滞をうけ、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに動くので株価にはプラス」という反応を示すのが、ほとんど「通例」となりました。
4‐6月期の米設備投資が3年ぶりにマイナスに転落し、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した8月の製造業景況感指数が好不況の目安である「50」を3年ぶりに割り込んだときも同様。さらなる追加緩和をFRBに期待して株価も持ち直すなど「緩和頼み」の様相が一段と強まってきました。
しかし、こうした「いいとこ取り」もいよいよ限界かもしれません。1日は買い先行で始まった米株式相場でしたが、同日発表の9月のISM製造業景況感指数がほぼ10年ぶりの水準に悪化すると景色は一変。ダウ工業株30種平均は2日間で累計800ドル超下げ、ほぼ1カ月ぶりの安値に逆戻りしました。
投資家は景況感悪化でFRBが追加利下げに動いても、かんじんの企業が米中摩擦の影響を恐れて投資に二の足を踏み、それが経済の下押しにつながる可能性を懸念し始めたようです。経済指標の悪化が追加利下げ期待を高め、かえって株価を押し上げるというメカニズムの限界がほの見えてきました。
さっそくトランプ大統領は「パウエルとFRBの利下げが足りない。(彼らは)敵だ」と、お得意の「責任転嫁」ツイートをしていましたが、後の祭りです。景気減速下で緩和マネー頼みの「いいとこ取り」株高がどこまで続くのか。4日の「日経プラス10」は市場のプロたちをゲストに招いて株価の先行きを徹底討論してもらいます。
株価を占ううえで「最大の重荷」である米中摩擦については来週8日、米政策に通暁したグレン・フクシマ氏に参加してもらい、米中関係の今後を見通してもらいます。
そしてニッポンの革新を主導する経営者を招いて重要な経済テーマについて語ってもらう「ビジネス闘論」の1回目が11日にスタート。初回は日本電産の永守重信会長です。来週も盛りだくさんの「日経プラス10」にご期待ください。
日経プラス10プロデューサー
森松 博士
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