今から5年前。スズキのインド事業を展開する「マルチ・スズキ」の工場で、一部従業員による暴動が発生したのを覚えていますか。スズキがインドに進出して30年。トップメーカーの地位を揺るぎないものにしていた時期の「まさか」でした。
発生当日、この騒動を取材するために浜松市の本社に出向いた時の事を、筆者ははっきりと覚えています。現地からの最新情報の報告を受けながら指示を出す鈴木修会長。取材陣への対応もひと段落したころ、鈴木氏は自分に言い聞かせるように、小さな声でこう話しました。「誰だって間違う。それを失敗で終わらせず、成功につなげるのが経営者の役割だろ」――。絶好調の中に潜む落とし穴を未然に防げなかった自身を責め、前を向いた瞬間だったのだと思います。
それ以降、87歳になった今もインドに赴き、現地の幹部と対話しています。生産現場の実力は、日本や欧米の品質要求を満たす水準に向上しました。あの日の「決意」を言葉だけに終わらせない執念は、「凄まじい」としか表現できません。
インドは経済大国として成長を続けています。マイカーを手にできる所得層も分厚くなり、スズキのインド事業も更なる成長期に入ります。しかし、順風満帆の時間が続くとは限りません。「まさか」に備えて、どんな手を打っていくのか。百戦錬磨の経営者、鈴木修氏の声を10日の放送でお届けする予定です。
日経プラス10
プロデューサー
大西穣
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