英国の欧州連合(EU)からの離脱騒動で、一時は1ドル=99円台まで円高が進みま
した。円高は輸出企業の業績を悪化させるため、日本経済にとって、あまり歓迎され
ないです。
円高メリットを感じる数少ない場面の1つが,海外に出た時です。ひと足早く6月
最終週に夏休みを取った同僚は、ハワイで久々に強い円を体感したそうで、1ドル=
100円の追い風で爆買いに走りました。
そんなふうに円高メリットを享受する人もいれば、その風を受けそこなう運のない
人もいます。私は先週、アジアに出張したのですが、日々、円高メリットが消えてい
く、せつない出張になりました。
12日火曜日朝の日経モーニングプラスに出た時に、番組の中で「昨日の米国市場で
円安が進み、1ドル=102円台になりました」。このときはまだ、そんなもんかと思っ
て成田に向かったのですが、7時間ほど飛行機に乗って出張先に着いたら、なんと1ド
ル=103円になっていました。えーっと思う間もなく、翌13日には104円台、14日は
105円台と、あれよあれよの円高修正です。トルコのクーデター未遂でいったん104円
台に戻ったものの、週開けはまた105円台、帰国したら106円台になっていました。
5円の円安で、出張先のホテル,レストランなどでのドル建ての支払いコストは5%
上昇しました。まったくついていない。
企業買収でも円高円安は様々なドラマを呼びます。円高局面終了を察知して、1ドル
=82円台でドルを手当し、米国で大型買収をしたソフトバンクは、今度はブリグジッ
トショック後の1ポンド=130円台後半の円高局面で、3兆3000億円の大型買収に動き
ました。
そんな円相場、来週はまた大きな波が来そうです。日米の中央銀行が金融政策決定
会合を開きます。米国では、9月以降の利上げに向けた地ならしが始まるのか。日銀
はどう動くのか。ハラハラドキドキの1週間になりそうです。
(日本経済新聞 編集委員兼キャスター 鈴木亮)
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