5月から6月にかけて、日本株相場は大きなヤマ場を迎えます。来週あたりからの
1カ月は、今年の相場の方向性を決める重要な時期になります。
まず5月26日からの伊勢志摩サミットです。ここまでに財政出動が決まると思いま
すが、補正予算の規模に注目です。3兆円とか5兆円とか、常識的な規模ではマーケッ
トは反応しないかもしれません。ここはどーんと7兆円から10兆円あたりまでの積極
出動を期待したいところです。
同時期に注目されるのが、消費増税の再延期です。リーマン・ショック並みの経済
変動が起きたら、東日本大震災並みの異変が起きたら、その時は再延期も、というの
が政府の立場でした。今の米国、中国など新興国の経済状況を考えると、無理に解釈
すれば、リーマン・ショック並みの危うい状況と言えなくもない。また熊本地震の被
害も深刻で、東日本大震災に近いレベルと言っても過言ではない。かなり拡大解釈す
れば、消費増税延期の基礎的な条項は満たしていると、言い張れるかもしれません。
さらに日本やドイツに財政出動への期待が高まっている今の国際情勢を、無視する
わけにはいかないでしょう。 財政再建はひとまず置いておいて、という論理は理解
できると思います。
少子高齢化の止まらない日本にとって、消費増税の必要性は誰もが認めるところで
すが、「いつやるんですか?」と問われ、財務省や財界の一部は「今でしょ!」と人
さし指を立てるかもしれませんが、マーケットの大勢は「今じゃないでしょ!」と指
を左右に動かす状況です。
そして4月に下手を打った日銀です。6月16日の金融政策決定会合で、今度は追加緩
和に動くのかどうか。動くとすれば何ができるのか。市場の関心はこれから徐々に高
まっていくでしょう。その前日には米連邦公開市場委員会(FOMC)がありますので、
日銀はいわば後出しジャンケンができる立場にあります。米連邦準備理事会(FRB)
が利上げに動くかどうか。世界が固唾をのんで見守る1日になると思います。それを
受けて翌日、日銀はどう出るのか。
マーケットにとってのベストシナリオは、7兆~10兆円規模の財政出動、消費増税
再延期、日銀追加緩和、FRB利上げがそろい踏みすることでしょうか。この4点セット
がどこまで並ぶか。目の離せない1カ月が、まもなく始まります。
(日本経済新聞 編集委員兼キャスター 鈴木亮)
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