横浜市都筑区の傾斜マンション問題。実は私、自宅が都筑区でこのマンションから
それほど遠くないところに住んでいる関係で、地元の人たちの声が耳に入ってきます。
直近、一番の関心は販売元の三井不動産レジデンシャルが提示した補償の中身。全4棟
の建て替えを前提条件とし、転出を希望する住民には、建て替え後の新築マンション
の分譲価格を支払って買い取るというもので、"手厚い"内容に見えます。
三井不動産レジデンシャルとしては、訴訟などが起きてこの問題が長引き、ブラン
ドイメージが傷つくのが恐い。そこで先回りして好条件を提示する判断に動いている
のだと思います。皮肉な結果ですが、世間では、この問題が起きて以来、「財務力の
しっかりしたデベロッパーを選んだ方がよい」というムードが醸成されつつあります。
ただ、それでも住民合意のハードルは高いと言えます。建て替えの実現には全世帯
の5分の4以上の同意が必要です。私が聞く限り、同じ世帯の中でも、お父さんとお母
さんの意見が割れることがあるようです。典型的なのは、お父さんはマンションを資
産とみなし、経済合理性で判断するため、「新築価格で買い取ってもらって、別のと
ころに引っ越そう」と主張。しかし、お母さんは既に子供を介したコミュニティーが
出来上がっており、簡単には割り切れないというパターンです。
高齢世帯にも建て替えに否定的な意見が少なくないようです。隣接しているショッ
ピングセンターは私も利用しますが、とにかく便利。日常の買い物から飲食、娯楽、
健康相談、診察に至るまで、すべてここで完結します。クルマを手放したお年寄りに
とっては、全棟建て替えまでに3年以上かかるという工事期間中に、別の場所に引っ
越すのはつらいでしょう。ちなみに、動揺は周辺住民にも広がっています。この一帯
は、ショッピングモールとマンションの建設中、深刻な渋滞に悩まされていた経緯が
あり、付近の人たちは「また工事か」とため息をついています。
この問題が起きて以来、「自分の住まいは大丈夫か」と心配になった人も多いで
しょう。そこで番組では10月27日火曜日に、住宅の地盤について詳しい、ハイアス総
研の矢部智仁(やべ・ともひと)主席研究員をゲストとしてお招きました。矢部さん
によれば、(1)周りに大規模な建物が建っている(2)造成などで人為的に地形を変
えた(3)元が田んぼだった(4)河川の近く、といった立地にお住いの人は、とりわ
け、地盤の状況を確認した方がよいとのこと。
マンションの場合、管理組合を通じて、一戸建ての場合、自分自身で、専門の業者
に相談することになります。ただ、一般論で言えば、特にマンションの場合、地盤が
原因の事故は完成から3、4年で発生することが多く、それ以降は建物の自重で地盤が
固められるため、10年以上住んでいて、特に問題がなければ、それほど神経質になる
必要はないそうです。
これから住宅を購入する人へのアドバイスですが、正直なところ、専門知識がない
一般のユーザーが地盤について、確認することは困難とのこと。結局、販売窓口であ
るデベロッパーに、注意喚起するのが第一歩だそうです。例えば「地盤調査について
説明してください」「地盤調査を見せてもらえますか」といった質問を繰り返すこと
で、「この人にはあいまいな対応はできない」と思わせることも1つの手段。戸建て
の場合、「土壌汚染が起きた場合の対応は」といった少し専門的なことを質問すると、
施工会社に対する牽制につながるそうです。
横浜市のマンション問題については、4日水曜日にも、専門家を交えて、トークし
ます。
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