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ニュース報道の心

2015年10月23日(金)~池田元博論説副委員長~「なぜ今、中央アジアなのか」 小谷真生子

 安倍総理が10月22日から28日までモンゴルと中央アジア5カ国を訪問します。
中央アジア5カ国とは、トルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギ
ス、カザフスタンです。


 なぜ今、中央アジアなのでしょうか。
 20日、日本経済新聞の池田元博(いけだ・もとひろ)論説副委員長に聞きました。


 興味深いことに、1990年代に今の中央アジアが当時のソ連から独立し、権限を
拡大していこうとする様を、池田氏はモスクワ支局で見守っていました。


 「1991年、ゴルバチョフ大統領は当時共和国だった(今の中央アジアの)権限強
化を主張し、ソ連の中央集権を弱める方向に動きました。それに対してライバルの
ボリス・エリツィン次期大統領らは『そんな改革では生ぬるい』と、結果的にゴルバ
チョフ大統領を追い落とし、ソ連は崩壊したのです」と池田氏は当時を振り
返ります。「でも、中央アジア5カ国自身は、といえばソ連にとどまるつもりでした」


 その翌年の1992年、池田氏は中央アジア5カ国をまわりました。国境管理はな
く、飛行機は飛ばなかったり、夜行バスでまわったり、と大変だったそうです。
「当時、ものがないと言われていたモスクワ以上にものがありませんでした」


 その5カ国をめぐり、中国とロシアが今、覇権をめぐり競り合っているというので
す。なぜでしょうか。「天然資源」です。カザフスタンは、クロムの埋蔵量が世界
1位、ウランは世界2位、石油も豊富。トルクメニスタンも、天然ガスの産出量は世
界トップクラス。「中国は、構想『一帯一路』を念頭に中央アジアに過剰な進出、投
資をしています。そしてロシアはそのことを快く思っていません。ロシアにも域内貿
易の自由化を標榜する『ユーラシア経済同盟』という旧ソ連内の構想があり、蜜月と
もいわれる中露は、実は中央アジアをめぐって協調できていません」と池田氏。「既
に中央アジアでは、ロシアの通貨ルーブルより、中国の通貨人民元の方が力がありま
す」


 そこに日本がどう介在できるのでしょうか。池田氏はこう分析します。「中央アジ
アは親日的です。彼らの日本に対するイメージといえば、平和国家、経済大国、技術
水準が高い、といった憧れの対象なのです。ですから経済的支援よりも、民間企業も
含めた交流により、日本と共に利益を得られる協力により『稼ぐ力』をつけることを
望んでいるのです。また、翻って日本も先の地政学的リスクを考えるのならば、仲間
を増やしてゆくことが大事です」


 つまり、日本がイスラム過激派の台頭に対しても、中央アジアに貢献できることが
あると、池田氏は言います。「中央アジアには、ウズベキスタンやカザフスタンな
ど、旧ソ連からの独立後から続く長期独裁政権国家があり、今後政変による無政府状
態になることも考えられるのです。その際、イスラム過激派の温床が中央アジアに拡
散し根付かぬよう、優秀な人材育成支援などを日本は担うべきです」


 安倍総理の「地球儀を俯瞰する外交」による国と国との仲間の輪を広げてゆくこと
が、ひいては日本の生きる道になる。


 なぜ今、中央アジアなのか。
 池田氏の旧ソ連に対する洞察と分析で納得したのでした。


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