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ニュース報道の心

2015年8月14日(金)生放送の緊張感 鈴木亮

 日本経済新聞社には7人のキャスターがいます。本欄でもおなじみの豊嶋広のほ
か、編集委員の木村恭子、編集局の部長、編集長が計4人、私の7人で、今年4月から
この体制になりました。


 キャスターの出番は番組の最初のコーナー「ニュースプラス」です。当日の18時ま
でにメニューを固めます。ニュースが2本、電子版独自の記事から1本です。20時ごろ
には台本が上がってきます。米国の雇用統計など放送直前の21時30分に入ってくる
ニュースがある場合、台本が間に合わないので、ほぼぶっつけ本番になります。メー
ンキャスターの小谷真生子さんは、たまにアドリブで台本にない質問をしてきます。
「そのほうがライブ感があっていいでしょ」と澄ましています。確かにこちらも想定
外の質問に必死で答え、それが生放送ならではの生きの良さにつながることもありま
すが、たまに悲惨なこともあります。


 キャスター制度が始まる前、「ニュースプラス」はその日の電子版編集責任者が交
代で担当していました。中にはテレビ出演は初めて、毎回緊張の極地という者もいま
した。某部長のA君もそんな1人。プロンプターに映る台本を、ひたすら間違えない
よう、いつも必死で読んでいました。A君、ある日の出演で野菜工場の記事を紹介
し、なんとか台本を読み終え、ほっとしたところに、小谷さんからアドリブ質問が飛
んできました。「ところでAさんはどんな野菜が好きですか?」


 想定外の質問にパニックになったA君、「う、うう...」。画面の向こうで、にこっ
と笑った小谷さん、「いろいろな野菜がありますよね」とフォローしてくれ、なんと
か終わりました。こんな簡単な質問にどうして答えられないのか、と思うでしょう
が、そこが生放送の緊張感というものなのです。


 私は編集委員を兼務しているので、2つ目のコーナー、「フカヨミプラス」にも出
演します。編集委員が自分の専門領域のテーマについて解説します。政治、経済、国
際など様々な分野のスケジュールから番組スタッフが重要な項目をピックアップし、
2週間くらい前から準備をします。私の場合、専門はマーケット、マネーなので、株
式相場、決算発表、資産運用などに関するテーマが多いです。私はこのコーナーに思
い入れがあり、一番好きです。


 2013年4月に「日経プラス10」が始まった時、記念すべき第1回放送の「フカヨミプ
ラス」に出演させていただきました。この日のテーマは「日経平均は2年で2万円
へ」。当時の日経平均はやっと1万2000円台に乗ったところで、2万円というのは途方
もない水準でした。


 1年後、小谷さん、山川龍雄さんをメーンキャスターに迎え、番組はリニューアル
します。そのリニューアル初日の「フカヨミプラス」にまた出させていただき、やは
り「日経平均は2万円へ」というテーマで話しました。小谷さんは、1年後に2万円と
して、その課程で「2014年の高値はいくら?」と尋ねてきました。私は「年末1万
8000円」と答え、このQ&Aを、おそらく十数回にわたり、「フカヨミプラス」でや
りました。


 3つ目のコーナー「トークプラス」にも、年に数回、出演させていただいていま
す。このコーナーは一番手間暇かけて、じっくり作っています。1カ月前くらいから
準備が始まり、スタッフとは2度、3度と入念に打ち合わせをし、台本を作り込みま
す。


 このコーナーはテレビ東京のスタジオに行くので、いつもの日経スタジオとまた違
った緊張感がありますが、小谷さん、水原さんに会えるのが楽しみです。8月10日も
株式相場の見通しについて、大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治さん
といっしょに出演しました。


 オンエア中もフロアーにはディレクター、カメラ、照明、音声などたくさんのスタ
ッフがいます。初めてテレビの現場に足を運んだ時、あまりのスタッフの多さに驚い
たことを覚えています。「日経プラス10」は本当にたくさんのスタッフに支えられ、
日々、放送されているのです。

              (日本経済新聞社編集局 編集委員兼キャスター)


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