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ニュース報道の心

2015年6月5日(金)ニュースの選択 豊嶋広

「日経プラス10」の冒頭、「ニュースプラス」のコーナーに出演している豊嶋広で
す。このホームページは初登場となりますので、私どもがどのような視点で日々の
ニュースを選び、お伝えしているのか、書かせていただきます。


 私は大学を出てすぐ新聞記者になり、来年春でちょうど30年になります。「ニュー
スプラス」で解説役を交代で務めているのは、似たようなキャリアのいわゆる「ベテ
ラン記者」です。


 鮮度の高い経済ニュースをどのようにお届けするか。刻々と内外の情報を発信する
日本経済新聞電子版が、そのプラットフォーム(基盤)になります。ここで必要にな
るのが、活字情報として発信しているニュースを、テレビで分かりやすくお伝えする
工夫です。そこで、解説役それぞれの個性が発揮されます。


 私の場合は新聞記者としてはやや変わった経歴で、ここ15~16年のうち海外で
5年、テレビ(日経CNBC)で5年、働いてきました。そこから得た経験として、映
像報道は「メッセージを単純に」ということを心がけています。国境を越えた案件が
増え、従来の枠組みで片付かない複雑な話も多いのが実態です。それでもニュースを
お伝えする際、焦点をある程度絞り込む。より詳細な情報を得たい、じっくり考えた
い人には活字情報に誘導する、といったところでしょうか。ニュースのどこに焦点を
当てるかは、日経新聞の編集局の議論も反映してお伝えするようにしています。


 ニュースが色々と交錯し、その選択に迷う時もあります。私の場合は「マーケット
に聞け」。究極的にいえば、株式相場でも円相場でも結果は3つしかありません。そ
れは「上がった」「下がった」「変わらず」です。ただ、その過程で、マーケットは
様々な情報を飲み込もうとします。経済統計の評価は分かりやすい例ですが、政治家
の発言にしてもマーケットはどこに注目したのか、しなかったのか。時に間違い暴走
するマーケットですが、それを踏まえたうえで、世の中を映す鏡だと思います。


 日経プラス10に出演する日は、昼過ぎぐらいから「今日はどのニュースをとりあげ
ようか」と考え始めます。夕方に大きなニュースが飛び込んできた時は、極力、それ
に対応すべく努力します。6月1日、「年金情報125万件流出」の一報が伝わったのは
午後5時前でした。これをトップニュースにすべく、情報収集を急ぎます。日本年金
機構の記者会見の内容が刻々と入ってきました。


 私が注目したのは、機構が最初に端末のウイルス感染を確認してから、情報流出の
発表まで20日以上もかかっている点です。流出した情報のうち、50万件以上がパス
ワードをかけていないという内規違反も浮き彫りになりました。私はこの問題の専門
家ではありませんが、情報セキュリティー対策の大手企業を取材し、監視センターを
見学したことがあります。「悪意を持った者」は、標的と見定めると徹底して弱いと
ころを突いてくるのがこの世界の実態です。サイバー攻撃は国家の安全保障にも関わ
る、という認識が広がっている中では、公的機関としては甘いと言わざるを得ませ
ん。電子政府への道筋となるべき「マイナンバー制度」への影響も含めて、解説をし
ました。


 このように「ニュースプラス」のコーナーには、どのようなニュースが飛び込んで
くるか分かりません。個人として世の中のことすべてに精通している訳ではないの
で、日経の情報収集力、分析力を生かして、できる限り鮮度の高い番組にしたいと考
えています。


記事は日経プラス10クラブ会員向けのメールマガジンで毎週金曜日に配信しています
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