「免許、車検、保険」。5月26日火曜日のゲストは、ドローン(無人飛行機)の技
術動向に詳しい鈴木真二(すずき・しんじ)東京大学大学院教授。首相官邸にドロー
ンが落ちた事件をきっかけに、規制論議が高まっていますが、鈴木さんは事故や悪用
を防ぐためのルールの在り方を、クルマの運転になぞらえて冒頭のように表現しまし
た。
クルマは人々の生活を飛躍的に便利にしましたが、その一方で、交通事故は絶えま
せん。だからこそ、事故を最小限に抑えるために、運転者には、免許取得、定期点
検、保険加入などを義務付けています。ドローンも同じで、宅配、点検、農薬散布、
警備、空撮など、様々な分野で革新を起こす可能性を秘めています。ただ、その一方
で、事故をゼロにはできません。だからこそ、「免許、車検、保険」が必要だと鈴木
さんは言います。
これに加えて、プライバシーの問題が、今後は重要になってくるでしょう。人は
皆、一人でホッとできる居場所を求めます。だからこそ、家の周りに、フェンスや生
け垣を設けるなどして、誰の視線も気にせずに済む空間を作ろうとします。ところ
が、このスペースに易々と入り込んでくるのがドローンです。人は誰しも空からの視
線には無防備で、盗撮などに悪用される危険をはらんでいます。(ちなみに私がたま
に行くスーパー銭湯は、ビルの屋上に露天風呂が設けられています。これなど、
ドローンからは丸見えではないですか!)
鈴木さん曰く、プライバシー問題は今、世界各国が頭を悩ませているそうです。そ
こで私はかねて抱いていたアイデアを番組中、披露させていただきました。それは、
すべてのドローンにGPS機能の付いたチップを埋め込み、管制塔のようなところが監
視するというものです。禁止されているエリアを飛行していれば、アラームが鳴り、
警察が取り締まる。悪質さに応じて罰金を科す。そうすれば、「常に自分は監視され
ている」という気持ちになるため、犯罪の抑止につながるはずです。
鈴木さんにこのアイデアの実現性について確認したところ、技術的には可能とのこ
とでした。「コストがかかる」「厳しいルールを課すと、イノベーションの芽を摘ん
でしまう」という意見もあると思います。しかし、私はドローンについては、性悪説
に立って、ルールを作るべきだと思います。そもそもドローンのルーツをたどれば、
軍事目的であり、現に米軍の偵察機や爆撃機は無人のものが増えています。ドローン
があれば、自爆テロや盗撮などは、本人不在でも可能な時代になろうとしているので
す。こうした懸念を払しょくしなければ、結局は世論の反発を買ってしまい、何も飛
ばせなくなってしまうのではないでしょうか。
現在、汎用品として市販されているドローンは中国製が目立ちます。しかし、鈴木
さんによれば、分解してみると、カメラやセンサーなど重要部品には日本製が使われ
ていることが多いそうです。このあたりはスマートフォンと同じ構造です。「これか
ら高機能なドローンが求められるようになれば、日本企業が活躍する場面は増えると
思います」。
せっかくであれば、「安心・安全」に飛行させる仕組みやシステムも含めて、日本
がこの分野でリードすることを期待しています。
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