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ニュース報道の心

2015年5月8日(金) ~田村正之編集委員~「非課税贈与制度 家族のコミュニケーション促す 小谷真生子

 まだ連休中の「こどもの日」、「フカヨミプラス」のコーナーで、個人マネー全般
がご専門の田村正之(たむら・まさゆき)編集委員が、子供や孫への「非課税贈与制
度」について解説して下さいました。今年4月からスタートした非課税贈与制度。20
歳から49歳までの子供や孫に対して、一人当たり1000万円までの贈与が非課税となり
ます。


 これまでも教育資金や住宅購入資金の非課税贈与制度はあったものの、今回の対象
は結婚、出産、育児に対する新たな制度で、孫や子供名義の専用口座をつくり、そこ
に1000万円を上限にお金を振り込みます。使い道を証明できる領収証を金融機関に提
出すれば課税の対象にはなりません。


 「今回の新制度はアナウンス効果が大きい」と田村編集委員。これまでも少額であ
れば、子供や孫に渡しても課税対象にはなりにくかったのが、今回の上限1000万円と
いうまとまった額を提示することでシルバー世代の金融資産が動くきっかけになると
いいます。


 最近、田村氏は相続や贈与に関連するセミナーの盛況ぶりに驚いています。「セミ
ナーはあちらこちらで満員です。それもシルバー世代だけではなく、相続や贈与を受
ける40代や50代が多い」


 懸命に働きさえすれば、給料と年金が受け取れる安心の老後から、昨今は給料も減
り、年金にも不安を抱え、かつ寿命も延びています。今の40代から50代にとっては老
後資金に相続や贈与が最後のチャンスに見えているのではないか、と田村氏は分析し
ます。


 「50歳からでも月5万円の低コスト投信を1本に絞って3%利回りで投資してゆけ
ば、退職金とあわせて、投信を65歳から月10万円切り崩しても90歳頃まで大丈夫で
す」。日本株、日本債券、外国株、外国債券を少額ずつ、長期にわたり投資すれば、
老後資金になるのだといいます。


 ご主人が亡くなり、その遺言を奥様が読み上げる現場に田村氏は立ち会ったことが
あります。その際、取り分が少なかった三男の表情がこわばりました。が、実は三男
には留学で1500万円ほど使っていました。遺言の最後にそのことが記されていて、さ
らに、「末っ子の三男が父、母はかわいくないはずがない。父、母はお前を愛してい
る。母を大事にしておくれ」と書き加えてありました。こわばっていた三男の表情は
急にやわらかくなりました。遺言の中のこの付言事項、つまり家族への思いが、残さ
れた遺族の不協和音を回避したのです。


 「現役時代、懸命に働いても老後不安を払しょくできず、相続や贈与に依存する中
年世代にとって、親や祖父母の思いが伝わることはとても大事なのです」と田村氏。
今回の新非課税贈与制度は、そんな家族間のコミュニケーションをも促しているのか
もしれません。


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