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ニュース報道の心

2015年4月3日(金)地方も会社も生かすコマツの経営 山川龍雄

 4月1日水曜日のトークプラスは、コマツの坂根正弘(さかね・まさひろ)相談役
のインタビューでした。坂根さんは、赤字経営からV字回復を成し遂げ、建機メーカ
ー世界第2位に導いた立役者。そして現在は、政府の「まち・ひと・しごと創世会
議」のメンバーを務めており、コマツは東京に置いていた一部の機能を創業の地であ
る石川県に移転させるなど、地方活性化に取り組んできた実績があります。そこで小
谷真生子さんと私とでコマツ本社に出向き、地方創生について、じっくりと伺ってき
ました。


 話の中で、とりわけ強く印象に残ったのは、石川県と東京で働く従業員の結婚して
いる割合や子供の数を比較したデータでした。石川の女性従業員(30代以上)の既
婚率は90%で、1人当たりの子供の数は1.9人。これに対して、東京は50%、
0.7人だというのです。子供の数については、実に2.7倍の開きがあります。
「まさに理屈通りなのですよ。東京に来ると生活コストも高いし、周りにおじいちゃ
んおばあちゃんもいないから、子どもも産めない」。都会と地方とでは、出生率に違
いがあることは私も承知していますが、改めて、これだけリアルな数字を示される
と、愕然とします。


 「私は何も少子高齢化の解決や社会貢献のために、企業は地方に機能を移転させる
べきだと言っているのではありません。経営の合理性の観点からも、移転した方が有
利なものがある。であれば、少子化や地域への貢献にもつながるのだから、その部分
は、移転した方がよい、と言っているのです」


 コマツが東京から石川県に移したのは、購買や研修などの機能でした。購買は主力
工場の近くにいて一緒に仕事をした方がよい、研修はあえて本社に置くよりも、むし
ろ現場の視察も兼ねられる場所の方が適しているといった判断があったそうです。結
果、会社は生産性を向上させ、従業員は子育てしやすくなるなど、様々なメリットが
ありました。


 企業の合理性追求と地方移転は二律背反するものではなく、両立するというのが坂
根さんの主張です。「政府も企業も大がかりなことを考えるのではなく、できるとこ
ろの機能から地方に移転させ、その部分は極力、地方で採用していく。そうやって、
皆が実行していくことが大事だと思います」。


 今年最大のテーマの1つは地方創生であり、4月には統一地方選もあります。地方
が元気にならなければ、日本は元気になりませんし、アベノミクスが成功したとは言
えません。そこで日経プラス10は、これから「シリーズ 地方創生」と題して、様
々な分野で地方を活性化させてきた人物や事例を紹介していきます。


 坂根さんを皮切りに、来週は「里山資本主義」で知られる日本総研の藻谷浩介主席
研究員、「ななつ星」の次を見据えるJR九州の青柳俊彦社長、「くまモン」の生みの
親としても知られる放送作家・脚本家の小山薫堂氏らを迎え、様々な角度から、地方
創生の在り方を考えていきます。さらにその次の週以降も積極的にこのテーマを取り
上げていきます。ご期待ください。


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