「まさに火中の栗を拾うというのは、こういうことかもしれません」。3月17日火曜日のゲストは、民事再生手続き中のスカイマークを支援している独立系投資ファンド、インテグラルの佐山展生(さやま・のぶお)代表。番組中、話を聞きながら、この人がいなければ、今ごろスカイマークの便は運航していなかっただろうと、改めて実感しました。
昨年来、スカイマークに支援の意思を伝えていた佐山さんのもとに、「万策尽きて、破産の準備に入るらしい」という情報が飛び込んできたのは1月23日の夜。「破産する必要はないはずだ」。そう直感的に考えた佐山さんはすぐさま羽田空港近くのスカイマーク本社に乗り込み、状況把握に努めます。
インテグラルのスタッフとともに数日間泊まり込んで1枚1枚の伝票を確認。その上で出した結論は「90億円を融資すれば、最も資金が苦しくなる谷底の時期を乗り切れる」。スカイマークと再生支援の基本契約を結んだのは2月5日のこと。恐らく佐山さんのこの行動力がなければ、同社は今ごろ破産手続きに入っていたはずです。
番組中、佐山さんが強調したのが、「インテグラルは一般的なファンドのイメージとは異なる」という点でした。「保有した株式を最も高く買ってくれるところに、右から左に転売するようなことはしません」。「スカイマークの経営がおかしくなったのは、人員が過剰だったわけでなく、大型の機材を買い過ぎたことが原因。だから、人には手を付けません」。佐山さんのコメントからは、残された会社と従業員を思う気持ちが感じられました。
私はあえて、「日本航空の破綻の時には、まず相当のリストラに取り組んで止血をしました。それに比べると、佐山さんは浪花節すぎませんか」と質問しました。これに対して、佐山さんの返答は、「いや、私は浪花節なんですよ」。そしてこう続けました。「残された従業員がやる気になるかどうかが再生のカギを握るのです。それに、右から左に転売するようなファンドには、いずれ誰も案件を持ち込まなくなります」。
インテグラルが支援を表明して以降、1日当たりの乗客数は1万2000人から1万5000人へと回復傾向にあるそうです。現場は一時よりも平静を取り戻したかのように見えます。ただ、この先、思惑通りに事が運ぶかどうかは、未知数なところがあります。民事再生手続きに入った以上、最大の関門は、債権者の承認を得ること。そこでは一般的に言って、「情」より「利」が優先されます。
しかも、スカイマークの場合、欧州エアバスが求めている大型機「A380」の売買契約解除に伴う約7億ドル(約840億円)の違約金や、中型機「A330」のリース契約を結んでいた米イントレピッド・アビエーションに対する巨額の債務の存在があります。再生計画案の承認にはこうした外資企業の同意が不可欠。だとすれば、機材の購買力を持つ航空大手の支援抜きに、支払いを安く抑える計画案を描くのは難しいように見えます。私が知る限り、現段階では、支援に手を挙げている航空会社は、スカイマークに対し、大幅なリストラの断行を求めています。
「便数や人員の大幅な削減を求めるところと、組む気はありません」。テレビの生放送にはめったに出ない佐山さんが、あえてこの時期に出演した背景には、画面を通して、航空会社などへメッセージを送る意図があったようにも感じられました。果たしてこの先、どう推移していくのか。番組でも、随時お伝えしていきます。
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