12月24日水曜日のゲストは宝塚歌劇団の小林公一理事長。私も番組当日の東京公演を見に行ってきました。宝塚は今年100周年を迎えました。なぜ、100年もの間、ファンを魅了し続けることができたのか。にわか勉強でうんちくを語るのは少々気が引けるのですが、私なりの解釈をすると、宝塚には3つの「感」があります。
1つめは、非現実感。豪華な衣装、照明を効果的に使った演出、スピーディーな展開などが、独特の世界観を醸しています。ファンが夢の世界に没頭できるように、タカラジェンヌは皆、本名や年齢、給料などは非公表。できる限り、私生活を明かさず、ベールに包むようにしているそうです。夢を売る仕事に徹するという点では、同じく熱狂的なリピーターを集めるディズニーランドとも共通項を感じます。
それにしてもなぜ、女性ファンは、男役のスターに憧れを持つのでしょうか。「実在する男性にはない、包み込むような優しさがあるからじゃないでしょうか。そこに理想の男性像を重ねているのだと思います」。小林さんのこの説明には、妙に納得すると同時に、男として複雑な心境にもなりました。
2つめは、安心感です。宝塚の作品は必ずと言ってよいほど、ハッピーエンドで終わります。ロングランは行わないため、毎年、数多くの新作が登場します。いずれも展開の中で、紆余曲折があっても、最後に後味の悪い結果になることはありません。ドラマで言えば、『水戸黄門』、最近では『半沢直樹』や『相棒』、『ドクターX』といったところでしょうか。
扱う内容は暴力や政治、宗教など過激な表現は控えています。老若男女が安心して見ることができる。小林さんによれば、4代続けて宝塚ファンという顧客もいるそうです。
3つめは、宝探し感。コアなファンは皆、将来、スターになるであろう「原石」探しに夢中になっています。宝塚には、花、月、雪、星、宙(そら)という5つの組があり、それぞれがトップスターを頂点としたピラミッド型の人員構成になっています。宝塚音楽学校時代から試験があり、成績順が明示されます。
そんな厳しい序列社会の中で、実力や人気、それに運も重なって、悲喜こもごもの出世物語が展開されていきます。「最初は舞台の端で踊っていた人が、少しずつ真ん中に行く。そこに我が子が育っていくような喜びがあるのでしょう」(小林さん)。
ちなみに史上最速でトップスターになったのは入団7年目で就任した女優の天海祐希さんで、逆に真矢みきさんや檀れいさんは入団時の成績はそれほど良くなかったそうです。順当な人事もあれば、サプライズもある。そんな未来のチーム編成をファンが読み解き、無数のストーリーが語られていく。そうやって宝塚の深遠さが形成されているのでしょう。
もう1つ加えれば、熱烈なファンがいるところには、やはり聖地が存在しますね。スポーツで言えば、相撲は両国国技館、高校野球は甲子園球場、ラグビーは花園ラグビー場といった具合です。宝塚と言えば、もちろん兵庫県宝塚市の大劇場。今度は私も本拠地に足を運んでみたいと思います。
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