この番組はBSテレ東4K(4K 7ch)で
超高精細な「ピュア4K映像」をご覧いただけます

2015年4月17日(金)東大合格 中高一貫の躍進から見える「格差」 山川龍雄

 「高校から東京大学に行くルートが細っています。小学校からおカネをかけない
と、入りづらくなっているのです」。4月14日火曜日のトークプラスは、「東京大学
合格者の傾向から見えてくる教育格差の問題」がテーマでした。ゲストは大学通信の
安田賢治(やすだ・けんじ)常務。大学通信は、週刊誌などが毎年掲載する「高校別
大学合格者ランキング」などにデータを提供している会社です。


 最近の東大合格者にはどんな傾向があるのか。安田さんの分析の中で、とりわけ印
象的だったのは、中高一貫校の躍進です。高校別の東大合格者数上位20を見ると、
都立の日比谷高校を除いて、すべて私立や国立の中高一貫校なのです。話には聞いて
いましたが、中高一貫の「一人勝ち」がここまで顕著になっているとは思いませんで
した。安田さんによれば、(1)早い段階で優秀な学生を青田買いしていること (2)レ
ベルが同じ学生を集めているので、絞り込んだ教育をしやすいこと (3)高校の受験
対策に割く時間を、ほかの教育に振り向けられること、などが理由のようです。


 中高一貫の中には、高校からの一定枠の入学ルートを確保しているところもありま
す。ただ、多くの学生は中学受験を経て入学しており、小学校時代に塾に通ったり、
家庭教師をつけたりして、「傾向と対策」に取り組めるかどうかが合否を左右しま
す。自ずと、それなりの経済力のある家庭の子供が優位になるのは否めません。ちな
みに、東大生の親の約6割が年収950万円以上という調査結果があります。年収950万
円以上の世帯は、特に地方に行けば、ごく少数しか存在しないでしょう。


 安田さんは、東大の「関東ローカル化」の傾向についても指摘しました。東大合格
者のうち関東圏の高校出身者が占める割合は、2005年が52%だったのに対し、2015年
は59%まで上昇しました。「地方から東京に行かせれば、生活コストがかさむ。最近
は、たとえ学力が高くても、上京を諦めて地元の大学を受験するケースが目立ちま
す」。もちろん、東大に入学することが、すべての選択に勝ると言うつもりはありま
せんし、「地方創生」の観点で見れば、優秀な学生が地方に留まるのは、決してマイ
ナスとは言えないでしょう。


 ただ、それでも気になるのは、東大合格者の傾向から透けて見える格差の固定化の
問題です。家庭の経済格差が教育格差を生み、その教育格差がまた次の世代の経済格
差に引き継がれていくという悪循環にはまっていないでしょうか。日本は比較的、格
差が小さい国であり、こうした連鎖が起きにくいという指摘もあります。しかし、こ
と教育については、そうとも言えません。経済協力開発機構(OECD)の調査による
と、日本は、教育費に占める家計の負担割合が30.5%と、データが存在する加盟28カ
国中、チリ、韓国、米国に次いで4番目に高いのです。言い換えれば、教育に関わる
国の負担が少なく、子供が十分な教育を受けられるかどうかは、親の経済状況によっ
て決まりやすいことを示しています。


 もちろん、大学進学を育った環境だけのせいにすることはできませんし、厳しい環
境下であっても、懸命に努力して有力大学に入る学生はたくさんいます。ただ、生ま
れ育つ経済的、地理的環境によって、子供たちのやりたいことが制約を受けていると
したら、少しでも障壁を減らしてやりたいと思いませんか。このテーマは、引き続き
追いかけなければならないと、安田さんの話を聞きながら、肝に命じました。


記事は日経プラス10クラブ会員向けのメールマガジンで毎週金曜日に配信しています
詳しくはこちら⇒http://www.bs-j.co.jp/plus10/club/

次へ 前へ コラム一覧へ