番組表

Bunjin東京グルメ

第2回 『カフェ・ド・ランブル』
~美味しさを追求したコーヒー~(後編)

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2013.12.23

分の世界にしか興味のない荷風が求めたコーヒーは、さぞ体も心も落ち着かせたに違いない。
彼の銀座通いは、1926年(昭和元年)ごろから始まったと言われる。荷風、47歳のときである。このときの彼は、旧来の純日本的な女性をモチーフにした小説から、私娼や女給といった新しい時代の女性像をモチーフにする作品群へと移行していた時期でもあった。
「われわれの生活は遠からず西洋のように、殊に亜米利加(アメリカ)の都会のように変化するものたる事は誰(た)が眼にも直ちに想像される事である。」(『銀座』)

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そして、荷風はこう警鐘を鳴らす。異なる文化が交わったことにより生まれた新しいものは、特別な注意の下に育てられない限り、その性質は往々にして二つの文化の悪い面を伝えてしまう。「日本現代の生活は正(まさ)しくかくの如きものであろう。」と締めくくっている。
コーヒー以上にほろ苦い荷風からの提言。彼はコーヒーを味わい、見つめながら、そんなことを思っていたのだろう。

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