絹谷幸二(洋画家)

絹谷幸二
1943年奈良県奈良市元林院町の老舗料亭に生まれる。当時、多くの文化人が訪れた文化サロンのような雰囲気の中で絹谷は育ち、自然と芸術に興味を抱くようになった。小学校の時に美術の先生から「絵は嘘をつくものだ」と教えられたことが、その後の絹谷の独創的な画風に大きな影響を与えた。東京芸大を卒業後、イタリア留学でアフレスコ画(漆喰に描く古典的な絵画技法)を習得し、帰国後は若手画家の登竜門である安井賞を史上最年少の31歳で受賞するなど、その才能は一気に注目を浴びることになる。芸術家はその時代の中で作品によってメッセージを発信していくべきだと考える絹谷の活動は、画壇にとどまらない。政治的な場でも積極的に講演や発言を行い政治家から経済人まで多彩な人脈を築き上げていく。78歳で文化勲章を受勲して芸術家として頂点を迎えた。番組ではそんな絹谷の業績を遡って紹介するとともに、ウクライナの戦争や新型コロナなどをテーマに精力的に創作活動を続けながら、子どもの絵の審査員や講演活動に飛び回る多忙な日々を追いかける。絹谷は今年ベストファーザー賞を受賞。長男は彫刻家、次女は日本画家になっている。今回、家族も取材することで絹谷の知られざる人間的な魅力にも迫る。