石毛直道(文化人類学者)

-
1970年の大阪万博でオセアニア地域の担当となり活躍。親交のあった作家・小松左京が石毛に「大食軒酩酊」という軒名をつけた程、大食漢で知られる。世界各地を訪れその土地の食文化を体験して学問として体系づけ、ニッポンにおける発酵食研究の権威でもある。国立民族学博物館の元館長。
1937年、千葉市生まれ。戦時中に少年時代を過ごした石毛は、終戦後のひもじい思いから食べることに執着するようになったという。京都大学を卒業後、大阪万博のブレーンだった梅棹忠夫のもとで万博に係わるようになった石毛は、岡本太郎や小松左京らユニークな文化人と積極的な交友を築いた。1997年に国立民族学博物館の館長に就任すると、当時は学問として認められていなかった食文化の研究に本格的に乗り出す。発酵食品のルーツを探るためにアジア各地を訪れて食べ歩きのフィールドワークを行い、世界で初めて「魚介類の発酵食品」を論文にまとめた。訪れた国や地域で何でも食べてみる石毛は「鉄の胃袋」を持つと言われるほどだった。また麺類にも詳しく、イタリアではパスタの調査で何日も食べ歩き、糖尿病になってしまった。さらに日本酒の研究でも功績を残した。無類の酒好きで「世界でもっとも多くの種類の酒を飲んだ人間」と自負している。
この番組では、大阪万博跡に立つ太陽の塔を訪れて思い出を語る様子や、民博で石毛の薫陶を受けた弟子たちとの再会。は虫類やラクダ、キリン、さらにオオサンショウウオを食べた体験。さらに世界各地の食文化について研究を深めた様々な収集資料を実際に見せてもらいながら、文化人類学の巨人の足跡を辿る。