杉本博司(現代美術家)

鈴木幸一
1948年、台東区御徒町に生まれる。立教大学を卒業後、アメリカのアートスクールで写真の勉強をしながら感性を磨いた。当時のニューヨークには大勢の日本人アーティストが溢れていたが、杉本はその中で刺激を受けながら成長。出世作となったのが、アメリカ自然史博物館の剥製をまるで生きているかのように撮影した「シロクマ」を始めとするジオラマシリーズだった。

モノクロームの質の高いプリントの作風、静謐で奥深い世界を表現して一躍注目を集めた。世界各地の海を撮影した「海景」シリーズは杉本の代表作となる。今年は、そんな杉本の展覧会が各地で行われている。東京・森美術館のグループ展を始め、京都市京セラ美術館では大規模な個展も開催された。9月には狂言師、野村万作、萬斎らが出演する舞台も企画。番組ではマルチな才能を見せる杉本の活躍を取り上げる。また、杉本自らがライフワークと捉えている「小田原文化財団 江之浦測候所」も、杉本自身の案内で見せていく。2017年に誕生した、広大な敷地の中に作品が点在する杉本の芸術世界は、美術ファンのみならず多くの人の心を捉えて放さない場となっている。今や日本を代表する現代アーティスト、杉本の作品をたっぷりと紹介しながら、時間を遡る独特の作風が生まれた秘密を解き明かしていく。