「安倍さんが辞めるらしい」「まさか」午前中から政治部の周りで記者たちがにわかに慌ただしく動き、じわじわと漂う緊張感。どうやら、本当か......。
「号外準備。リンテン(小型の紙面を各支局に掲示する簡易版でなく、実際に新聞を印刷する輪転機を回して刷る号外)で。就任以来の写真をとにかく集めろ。予定稿の用意を」
空気が重苦しさを増していくなか、局内のあちこちにあるテレビ画面から決定的な一報が。
『総理 辞意』 「......!」
ニュース速報を凝視してうめくようなどよめきが走り、夕刊の全面差し替えと号外発行へ。
これは、今年の話ではありません。2007年の9月12日、安倍総理が辞意を表明した日の日本経済新聞東京本社での動きです。当日私は夕刊の編集を補助していましたが、号外作製にまわりました。下の写真はその号外の現物で、先月28日、総理退陣表明の日の「日経プラス10」でお見せしました。私はこれまで数多くの新聞記事のヘッドラインを打ちましたが「安倍首相辞任へ」の見出しは空前絶後、ダントツの大きさです。
あれから13年。憲政史上最長の政権を率いた総理は、あの時と同じく持病によって任期途中、しかも突然の退陣となりました。評価は賛否相半ばしますが、長期政権の後は誰がやっても難しいものがあります。安倍総理自身も前回は小泉政権を受け継ぎ、1年で政権を譲りました。そもそも後継者の自民党総裁任期は安倍総理が残した1年ほど。だから「ワンポイントリリーフ」を菅さんで、という流れのようです。ただ、多くの派閥が菅氏支持でまとまったように見える裏で「安倍1強」の下で長年隠れていた「しがらみ」や対立の構図が早くも頭をのぞかせています。
来週から16日の新総理指名まで、政治のドラマの2週間です。「日経プラス10」は日経の鋭い取材力や深い分析を軸に専門家や海外の視点も交え、しっかりお伝えしていきます。
![]() 4カ月ぶりの六本木出演でした |
日経プラス10キャスター
岸本 好正
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