「地政学リスクは常に長続きしない」と相場で言われますが、それにしても米国とイランの対立をうけた前週の相場急落からの立ち直りの速さには違和感すら覚えました。14日には米国による中国の「為替操作国」解除と円安が支えとなり、日経平均株価は節目の2万4000円台をあっさりと回復。しかし、全面的な衝突こそ回避されたとはいえ、両国の対立関係は長引きそうだし、ましてやイランが直接手を下さなくても武装勢力によるテロが発生するリスクはある。中東情勢はいよいよ不安定になるのでは...。そんな疑問を市場関係者にぶつけたところ「そのリスクも頭の片隅にはあるが、それより今は持たざるリスクの方が大きい」との答えが。モメンタム(勢い)には逆らえない、ということでしょうか。
ちょっと冷静になって考えてみると、最近の株高基調を支える最大の要因は米中の緊張緩和でしょう。15日には第1弾の合意にこぎ着けたとはいえ、米国が問題視する中国の産業補助金や国有企業改革については解決の糸口がみえず、中国側の強硬な姿勢をみても第2弾の交渉でも「本丸」で合意する見込みはずいぶん低いように思えます。米企業収益についても米中貿易戦争を跳ねのけて回復するような力強さには欠けます。そして戦後最長を記録した米景気の拡大ですが、「減速」ですむのか、あるいは「後退」までいくのか。いよいよ正念場を迎えそうです。そうなると、強い株高要因というのは米連邦準備理事会(FRB)をはじめ各国当局の金融緩和ぐらいしか見当たりません。
当然のことながら、こうした事は市場関係者もわかっているのでしょうが「宴はいずれ終わるだろうが、行けるとこまでは行ってみよう」という心境なのではないでしょうか。そういえば昨年末にプラス10でゲストに招いた著名個人投資家、テスタさんの言葉を思い出しました。「いずれ調整は必ず来る。肝心なのは、それに備えたポートフォリオになっているかどうかだ」。けだし名言ではありませんか。
日経プラス10プロデューサー
森松 博士
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