9回裏、ノーアウト満塁。1点差で近江を追う金足農業の9番バッターが絶妙なバント。三塁ランナーが生還する一方で三塁手は一塁へ送球し、同点で1死二、三塁の局面と思った、次の瞬間でした。第2のランナー、二塁走者が猛然とホームに突っ込んできました。一塁手からの懸命のバックホームにもかかわらず、タッチをかいくぐった二塁走者が両手を大きく広げて本塁へ。第100回、記念の夏の甲子園にふさわしい劇的な逆転サヨナラ2ランスクイズでした。大観衆のほとんどが考えなかった「次のランナー」が、試合を決めました。
今週火曜日に「いまさら聞けない経済知識」でのコーナーでお伝えした「通貨危機」も、一つの国にとどまらず、第2あるいは第3の「ランナー」が次々と現れ、ピンチが連鎖的に広がる怖さがあります。今月10日にはトルコの通貨リラが急落したことをきっかけに、トルコと経済の結びつきが強い南ヨーロッパの国々の金融機関やトルコと同様に対外債務が大きい新興国に対する懸念が広がって、東京市場を含め世界的に株が下がりました。
番組でもご紹介しましたがトルコリラはこの状況でもなお、東京の街中で円から両替ができました。トルコの現地でも、いまのところ実体経済は一定の落ち着きを保っているようです。ただ、エルドアン大統領には通貨急落の元凶といえるアメリカとの緊張状態を打開する姿勢が見えません。
スクイズ(squeeze)には「銃の引き金を引く」という意味もあります。トルコ情勢が再びマーケットの混乱の引き金を引くのか。番組として今後も「ランナー」の動きに目を離さずお伝えしていきます。
日経プラス10キャスター
岸本好正
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