この番組はBSテレ東4K(4K 7ch)で
超高精細な「ピュア4K映像」をご覧いただけます

ニュース報道の心

2017年10月27日(金)「戸惑い」を越えて技術革新 大西穣

 「私はエンジンを開発したくて今の会社に入った。エンジンが要らないなら、私は会社を去りますよ」――。10年近く前、自動車メーカーの技術幹部に電気自動車(EV)の将来性について聞いた時、こんな答えが返ってきました。この企業は当時、EV本格進出など考えていなかったと思います。大学で内燃機関の研究に没頭し、大手メーカーに入って活躍されたこの方にとって、私の質問は冗談にしか聞こえなかったのでしょう。その後もEVを開発することなく引退をされました。


 それからわずか数年でEV時代が本格到来しました。28日に一般公開が始まる東京モーターショーの主役はEVのほか、人工知能(AI)搭載の未来のクルマ。エンジン性能はあまり話題になりません。欧州に始まった「脱エンジン」の流れは一気に業界の風景を変え始めています。


 「戸惑いはないのですか」。モーターショー会場で、旧知の技術系幹部に質問してみました。すると、うれしそうにこう答えてくれました。「EVや自動運転に取り組み始めた数年前は、エンジニアたちは乗り気じゃなかったと思います。しかしゼロからの挑戦で失敗を繰り返すうちに、特に若手がたくましく育ってくれています」


 この番組でも何度も指摘していますが、完全にEVに置き換わるには大きな壁がいくつも存在します。自動運転も同じです。ただ、だからと言って現状に甘んじずにチャレンジすることで企業が成長することは歴史が証明しています。これまで厳しい安全・環境規制に対応してきた自動車メーカーが一番、理解しているのだと思います。


 今回のモーターショーの主役は、急激な変化に戸惑いながらもイノベーションにチャレンジするエンジニア一人ひとりなのかもしれません。会場でそんな雰囲気を楽しんでみるのもいいのでは。


日経プラス10
プロデューサー
大西穣


記事は日経プラス10クラブ会員向けのメールマガジンで毎週金曜日に配信しています
詳しくはこちら⇒http://www.bs-j.co.jp/plus10/club/

次へ 前へ コラム一覧へ