「プラス10」ではその日に起きたニュースを解説するばかりでなく、埋もれているニュースを発掘して、お伝えする。5月22日の番組では、個人の株式投資を後押ししてきた少額投資非課税制度(NISA)が、大量失効のリスクに直面している--そんなショッキングな出来事を放送した。
2018年1月以降のNISA口座継続には、17年9月末までにマイナンバー(社会保障と税の共通番号)の届け出が欠かせない。それなのに、個人にも金融機関にも不徹底なのだ。このままでは、全部で1000万件以上あるNISA口座の半分以上、つまり500万件以上が無効になりかねない。
なぜこんなことになってしまうか。制度のつぎはぎに原因がある。その盲点に当局も民間も不注意だった、というほかない。経緯を整理すると、以下の4つのポイントになる。
(1)もともとNISAの仕組みができたときに、非課税枠は14年から
17年の4年間だった。18年からの非課税枠は新規に設定する
ことになっていた。
(2)これでは面倒。ということで、マイナンバーの制度ができた
際に、NISA口座のある金融機関にマイナンバーを届け出れば、
18年からも自動継続できるようにした。一種の便宜措置である。
(3)届け出期限は17年9月末に決まった。税務当局の事務手続きに
必要な時間を確保するためである。
(4)それとは別に、課税対象となる一般の有価証券取引口座がある。
この一般の取引口座については、マイナンバーの届け出義務は
18年末までと期限が決められていた。
NISA口座についての便宜措置と、一般の口座についての取り扱い。ほとんどの当事者が両方をごっちゃにしていたのである。文字で記せばこんな案配だが、テレビでは話し言葉で伝えなければならない。番組のスタッフが分かりやすい図表とインタビューを用意し、キャスターの小谷真生子さんが視聴者目線から「もっとスッキリと」と注文をつける。
こうして出来上がった番組を視聴者の皆さまにお届けしたが、9月末までには時間が余り残されていない。折に触れて、こうした問題では警鐘を鳴らしていきたい。NISA口座をお持ちで、まだマイナンバーを登録していない方は、口座を開設している銀行や証券会社にお急ぎを。

日本経済新聞
編集委員
滝田洋一
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