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ニュース報道の心

2017年5月19日(金)消費に波及 アベノミクス効果 鈴木亮

 昨日18日は日経平均株価が急落しました。米国で株式相場とドルが急落したためですが、トランプ騒動の影に隠れた形となりましたが、1つ明るいニュースがありました。1-3月期の国内総生産(GDP)成長率が年率2.2%と、市場予想の1.8%を大きく上回り、5四半期連続のプラスになりました。


 中身をみてみると、個人消費、設備投資、住宅投資、政府消費、民間在庫変動、輸出といった主要項目が総じて好調です。これまでの景気のけん引役は外需でしたが、今回の発表では外需の寄与度は0.1%で、逆に内需が0.4%の寄与度と景気のけん引役が交代しました。


 これまで雇用はいいが、消費は弱いと言われ続けたアベノミクスですが、ようやく消費にもエンジンがかかってきた感じです。民間最終消費支出はプラス0.4%と、5四半期連続で増加しています。これまで消費の重石となっていた生鮮食品の値上げが一巡したことも、消費者マインドの改善につながったようです。


 今後、3年ほどは、家電エコポイント制度を利用して購入した冷蔵庫、テレビ、クーラーが買い替え時期になります。例えばテレビの場合、通常は年間に800万台から1000万台が売れるのですが、エコポイント制度のあった2009年は1360万台、2010年は2520万台、2011年は1980万台が売れました。これらが7、8年経過して買い替え時期に差し掛かっています。ここ数年、家電はIoT化が進んでいます。何か1つIoT対応の家電に買い替えると、他の家電もIoT対応にしないと不便なことが多く、買い替えを促します。個人消費はここから堅調な推移を期待しても良さそうです。


 先日、ロンドン駐在時代の友人に指摘されました。「日本人はどうしてアベノミクスをもっと評価しないのか」と。確かに日本のマスコミの論調は総じて辛口で、中には足を引っ張ることしか考えていないのかと勘繰りたくなるような報道もあります。英国の知識層が愛読している「Money Week」誌は、「本年初からアベノミクス効果は顕在化しつつあり、日本がデフレから脱却できる期待が高まっている。平均賃金が上昇し始め、非正規労働者の賃金もアップしている。収入増は消費活動を活発化し、経済成長を後押しする」と指摘しています。


 「フィナンシャル・タイムズ(FT)」も「日銀は年率2%の物価上昇目標を掲げて久しいが、最近の明るい兆候を踏まえ、2%目標の実現も視界に入ってくる公算が高まっている。そうなった場合、安倍内閣への信認はさらに強まるだろう。アベノミクスが静かながらも、着実に果実を産み始めたと解釈できるからだ」と分析しています。


 国内では批判が目立つ安倍政権の経済政策ですが、むしろ海外から好意的な声が多いです。円高なのに過去最高益となった日本企業の強さも合わせて、この国の経済力をもっと冷静に妥当に評価すべきだと思います。


日本経済新聞
編集委員兼キャスター
鈴木亮


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