海外発の想定外に翻弄された2016年の日本株相場でしたが、17年も波乱に満ちた展開になりそうです。世界が注目したトランプ次期米大統領の初の記者会見を受けて、11日の米国株は上昇したもののドルは急落し、翌12日の日本株相場は大きく調整しました。4日の大発会が大幅高となり、明るい兆しが見えたものの結局、株価水準は年末に戻りました。
円高になると日本株が売られる。連想ゲームのように繰り返されるパターンですが、実は日本企業、昨年あたりから「為替離れ経営」の体制を着々と固めています。上場企業の海外輸出額と海外現地法人の売上高を比べると、2015年までは、ほぼ均衡していました。それが2016年には7対10程度と、海外での売り上げが輸出を上回っています。円安のメリットも少なくなったが、円高でやられる割合も減っている。これが日本の主要企業の実情です。
今や海外での売り上げ比率が50%を超える企業はあたりまえで、中にはホンダ、日揮など80%を上回る有力企業もあります。スイスを本拠地とする世界的な食品会社のネスレの場合、国外の売上高は99%になります。スイスも日本同様にゼロ金利で、個人が銀行に預金しても資産は増えません。そこで投資となるわけですが、スイス国民はネスレの株主になれば、自動的に世界に投資することになります。
先日、取材先のある社長に興味深いデータをみせてもらいました。バブルのピークとなった1989年12月末からアベノミクス相場が始まる直前の2012年12月末まで、東証株価指数は60%下落しました。ところが同じ期間に株価が上昇した企業は26%あり、10%の企業は株価が2倍以上になっていました。主な株価2倍組はニトリ、ユニ・チャーム、日本電産、キーエンス、しまむら、HOYAなどです。いずれも「なるほど、この会社なら」と思わず頷きます。
2017年もマーケットの波乱は続くかもしれませんが、もし相場全体が調整しても、成長する銘柄の選別さえ誤らなければ、リターンは得られるのです。
日本経済新聞 編集委員兼キャスター
鈴木亮
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