日経おとなのOFF
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京都国立博物館 雪舟作・国宝展示の舞台裏
雪舟は天橋立図にこの2体の地蔵までしっかりと描き込んでいます。不思議なのはこの天橋立図が非常に高い位置から見下ろすように描かれている点。画のような角度から天橋立を見る場所は当時も今も地上にはありません。雪舟は遥か上空から見た天橋立を想像によって描いていたのです。
また背景の山や、街並は実際よりも高く大きく描写されています。担当学芸員である山本さんは、この画から雪舟がどのように作品を扱っていたのかが分かるといいます。
画には雪舟が完成後、真ん中から半分に折り畳んでいたのではないかとされる跡が遺されているのです。博物館の光の光量や角度によってはこの線が強調されてしまいます。そのため、あえて照明を少し抑えるなど、作品を鑑賞する人たちが折れ目が気にならないような工夫をしています。
今回50点あまりの国宝が展示されている、京都国立博物館。しかし、そのすべてが博物館所蔵のものではありません。展示されているものの中には、個人所有の国宝もあり、展覧会のため貸し出されるのです。
個人で国宝を持つ人が京都市上京区(かみぎょうく)にいます。冷泉家の末裔、冷泉為人(れいぜんためひと)さん。
冷泉家とは鎌倉時代初めの歌人で書家の藤原定家の子孫にあたる公家の名家。藤原定家直筆の古今和歌集や同じく定家の日記として知られる明月記など5点もの国宝を所蔵しています。冷泉家の国宝は長い間、敷地内のある場所で守り続けてられてきました。
先祖代々の遺品など冷泉家の重要な品々を所蔵してきた土蔵(どぞう)。外部は最新のセキュリティシステムで覆われています。一方、藏の中は空調等なく当時のまま。その理由は……
外気が遮断された蔵の中は、温度と湿度が一定に保たれ、保管された物が痛みにくいのです。土蔵によって800年に渡り、大切な宝を守り続けてきた冷泉家。代々伝えられる、その思いによって国の宝は守られているのです。
美術工芸品が展示される舞台裏には、携わる人々の知恵や工夫がありました。展示される作品の裏側を知ることで国宝たる所以を感じてみてはいかがですか?




