『砂の器』『疑惑』『点と線』など、数々の名作を生み出し、誰もがサスペンスの名手として認める松本清張。輝きを失わない彼の作品は、今なお、各テレビ局で大作ドラマとしてリメークされ続けています。しかし、そんな清張が、江戸時代を中心とした時代小説の連作短編の傑作を数々遺していることは、意外と知られていません。それらを読めば、きっとあなたは驚くはずです。ドラマの濃密さ、時代を超えた人間描写の深さ、次が読めないプロットの面白さに…。
このドラマでは、『無宿人別帳』『彩色江戸切絵図』『紅刷り江戸噂』の3つの清張の連作短編集から、映像化に特に適した12作品を選び、1話完結×12本放送します。
清張の時代小説に深い興味を持つ語り部(水先案内人・佐々木蔵之介)が原作本を手にして読み始めるユニークな導入スタイルをとりながら、各話に個性派演技俳優を配して、江戸時代劇ミステリーの“魅せるドラマ”に仕上げます。
このドラマは1話ごとに筋書きが変わりますので、視聴者にわかりやすく前置き解説をする役目となります。こうしたナビゲーションの役は務めるのは初めてです。このお話をいただいたとき、松本清張さんがミステリー時代劇の短編をお書きになっていたとは知らなかったので、まず驚きました。何本か台本を読んでいくうちに、すごく面白くて興奮しました。ストーリーが予定調和にまとまっていない感じ。落ちも余韻で終わらず、カットアウトの感じが心地よかったです。登場人物もどれも個性的で、演じる役者の方々も芝居のやりがいがあるだろうなと思いました。
「収まっていない感じ、はみ出ている感じ、テーマも突っ込んだ感じ」が、地上波にはない、BSならではのテレビドラマっぽさが出るのではないかと、仕上がりを期待しています。時代劇だからこそできる「闇」の描き方など、必見のドラマになると思います。ぜひともご覧下さい!