■マーケットウィナーズ( 5/16 放送 )
テーマ:
東証1部PBR1.0倍超えの意味するところ
ゲスト :
鈴木一之氏
(マーケットアナリスト)
鈴木氏:
株式市場の指標を見て、マーケット内部のバリュエーションをもう1度考えてみようという内容なんですが、今週はゴールデンウィークが明けて、最初の1週間が終わりました。
先週、2日間しか立会い日数がなかったのですが、株価は大きく上昇しました。
その先週、今週の間に株式市場の内部ではかなり大きな変化が1つ見られるんですね。それが東証1部のPBR、株価純資産倍率の動きです。
これは、先週、連休明け直後の株価の急騰によりまして、東証1部全体のPBRが1.0倍を回復したという動きが見られたんですね。07年の頭は市場全体が、PBR2倍ぐらいで推移していたものが、株価の下落と共にずっと売られて、特にリーマンショック以降の急落から、昨年9月末、10月の頭にPBRが1.0倍を割り込んだんですね。まさに異常値の世界に入ってしまったという状況でした。
この1.0倍の水準を水面とすれば、ずっとこれまで水面下にあったという状況でした。
それがここにきて、景気の回復期待、あるいは現実の景気の回復局面、あるいは政府からの経済対策などを受けまして、1.0倍を超えてきた。いわゆる正常な値に戻ったというのが今週の大きな特徴のように思えるんですね。
PBRというのは、分母が一株あたり純資産で、分子が株価です。資産面で見て割安か割高か。世界でGDP第3位、時価総額で第2位の東京市場全体が解散価値を割り込むという異常な状態が半年以上続いていた。それが先週と今週にかけて正常値に戻ったという状況です。
正常に戻ったのはそれでいいのですが、もうちょっと考えてみると、異常な水準から正常に戻るという株式市場のレーティングという考えかたを借用して述べれば、売り、セルという状態が中立のニュートラルというところまで戻ったという状況ではないかなと思います。
ではこのまま直線的に株価が上にいくというのに、同じ理屈で買い進めるかというと、ちょっとまた違う問題になってくるんじゃないかなと思います。
これは、先ほどのグラフと長期金利の推移を重ねたものです。
ほとんど同じような動きをつけています。下がるときは下がる。上がるときは上がる。これそのものにも深い、大きな意味はあるとは思うんですが、ちょっと今乖離が生じていますね。
そしてこのPBRを消して、長期金利だけ残して、そこに配当利回りを重ねてみます。
オレンジは単純に東証1部全体の配当利回り。青の折れ線グラフは、時価総額でウェイト付けした加重平均の配当利回りです。大事なのは青の折れ線グラフなんですが、これが今週に入りまして、2.0%を8カ月ぶりに割り込みました。
配当利回りというバリューという面からは非常に株式市場魅力があったと言われるでしょうが、そのバリュー性が少し薄れてきていて、一頃大きく広がっていた長期金利との乖離、債権が有利か、株が有利かという側面から見ると0.5%ぐらいまで縮まってしまっている。株式市場の配当利回りという側面からみた場合の魅力が薄れているということですね。
日経平均の週足チャートとこれを重ねてみると、このときに日経平均が瞬間的に7,000円の大台を割り込んだという状況でしたね。配当利回りが今急低下しています。2%を8カ月ぶりに割り込んでいるという事実は、株価が上昇したという側面と同時に、もう一つ、上場企業の4割が減配している。
要は分母の株価が上昇し、分子の配当が減っている。それが合わさって今2%を割り込んでいるという状況です。2つの側面があるということではないかなと思います。
ですから、バリューという側面で見ると、株式市場はこれまでの異常値が正常値へ戻る過程での修正、リバウンドというものが起こったとしても、さらにここから上を買っていけるかというと、少なくともこれまでの理屈ではなかなか買い進みづらい水準にもう既に来てしまったということが言えるのではないかと思います。過去のPBRの水準をもう一回見てみたいのですが、今度はもっと長い、週足ベースのPBRを使って水準を計ってみたいと思うんですね。
これまでの異常値というのは2003年4月、日経平均が7,600円をつけた頃、あの頃は1.2倍でした。現在1.0倍ですから、前回の異常値に戻るだけでもあと2割ぐらいの上昇余地はあるわけですね。
それから、平時、例えば2005年5月ぐらいの1.5倍を仮に平時と過程すると、ここから5割ぐらい上がる余地がある。2割とすると日経平均で11,000円ぐらい。
5割とすると13,500円。そこに向かうには、ニュートラルから買いになるにはやはり理屈が少し変わらないといけない。景気が回復する。あるいは企業業績が底入れ、増大するという理屈が出てきたときにあらためて日経平均11,000円や、13,500円を目指すような動きが出てくるんじゃないかなと思います。