■マーケットウィナーズ( 5/9 放送 )

テーマ: 米国住宅市場は底を打ったのか
ゲスト :
岡崎良介氏
(ITCインベストメント・パートナーズ(株)取締役)


岡崎氏: 米国の住宅市場の兆しを探るのに欠かせない中古住宅販売件数。
ただし、これは売買手続きが完了した時点の件数で、通常、契約署名から1、2カ月後となってしまう。
ただ中古の住宅販売よりも先に動く中古住宅販売成約指数というマニアックな指数があるんです。
これはどういうものかというと売買の契約がサインされた時点でカウントされるんですよ。
ですから手続きが完了する前にひと足先に動きがわかるという利点があるんですね。


  成約指数がどんな動きをしているのかというと、過去1年間の動きなんですけども、ポイントは、今年の1月にボトムを打ったあと、2月、3月と2カ月連続して上昇してるんですね。
このニュースが今週伝わりました。2カ月連続というのがなかったことと、よく見ると1年前の水準を上回っているんですね。さらにこの成約指数は先行性があると言いましたが、先ほどの販売件数と比べてみましょう。


  販売件数のほうはまだ下向いているんですけども、もしも1カ月遅れ、あるいは2カ月遅れで動くのならば、これから先4月5月と中古の住宅販売件数が増えてくるんじゃないか、それによく見ると価格も上がっている。


  今度は中古住宅販売の価格を見てもらいたいんですが、このように価格も1月をボトムに動き出したんですね。気の早い人はアメリカの住宅市場はこれでボトムを打ったのではないかと言いだしたわけです。
これだけを見てはだめなので、もう少し角度を変えて、アメリカの住宅市場、価格の面を見てみたいと思います。


  先ほどの中古住宅の平均値です。黄色の折れ線グラフで確かにボトムを打ったように見えます。一方青色の折れ線グラフは新築の住宅の中央値という新しい統計の言葉なんです。一方新築の住宅の平均値、こちらもよく見ると先ほどの中古住宅と同じように上を向いていますよね。
例をとりましょう。
Aさんが5,000万円で新築の家を購入されたとしましょう。
そしてBさんが4,000万円。Cさんが3,000万円。Dさんが2,000万円。
Eさんが1,000万円の家を買ったとしましょう。
全部足して5で割ると平均値は3,000万円。
中央値というのはCさんの値段が中央値。このように5、4、3、2、1と並ぶと平均値も中央値も同じ値段になるんです。ところがAさんが1億円の豪邸を買われたとしましょう。そしてBさんは2,000万円の家を買ったことにしましょう。
そしてCさん、Dさん、Eさんがそれぞれ1,000万円の家を買ったとしましょう。
みなさん買い物して5で割るとこれも平均値は3,000万円です。しかし中央値は1,000万円です。
これが平均値と中央値の違いなんです。アメリカというのは高級住宅というのが売れますからビル・ゲイツみたいな人がとんでもない家を買うんでしょうね。ですのでどうしても平均値の方が高めに、中央値が低めに出ます。しかし中央値が本当の実態を表していますから、この数字が上がってこないとまだ眉唾なんですね。


  念のためにもう少し長いチャートを見てもらえますか。
新築の住宅の動きです。このように常に中央値というのは平均値よりも下の位置にあって、尚且つ平均値の方がブレが大きいんですね。誰かがすごく高い買い物をすると大きく動いてしまいますから。というわけで、この新築住宅、あるいは中古住宅販売だけで判断するのはよくないんです。


  ということで、マーケットの人間が世界中で注目しているのがこちらの指標です。
ケース・シラー住宅価格指数というのがあります。S&P社がだしているアメリカのエール大学の先生が開発したもので実勢に非常に近いんですね。
どんなものか見てください。


  アメリカの主要都市の動きです。2000年の1月を100とした指数グラフなんですけれども、黄色いマイアミなんていうのは3倍近く上がったんですね。そして真っ逆さまに落ちていますね。フェニックスなんかもそうですね。
悲劇的なのはデトロイト、大して上がっていないのにすごい下がっていますね。
デトロイトというと自動車産業の街ですね。やはり不況の影響がここに色濃く出ていますから、このケース・シラーの住宅価格指数が上がってくるかどうか、あるいは底打ちするかどうか、ここを注目して見ておく。これが一番大事な見方なんじゃないかなと思います。