■マーケットウィナーズ( 4/11 放送 )
テーマ:
日米株価の底打ち確認
ゲスト :
岡崎良介
(ITCインベストメント・パートナーズ(株)取締役)
鈴木一之
(マーケットアナリスト)
鈴木氏:
先週からなんですが、マーケットの片隅では非常に大騒ぎになっているんですが、
信用残高、信用の買い残、売り残が逆転してしまったという状況が起こっています。
通常は空売りするのは心理的になかなか難しいんです。買い残の方が上になって、
売り残の方が低いんですが、先週それが逆転して、今週もそれが続いているという状況
です。
まずグラフをご覧いただきたいんですが、非常に珍しい、めったに起こらない現象であるということなんですね。これは過去10年間ぐらいの日経平均の週足と、信用取引の買い残、売り残のグラフです。
過去10年間、買い残、売り残の逆転が起こっているのが02年の辺りなんです。
過去10年間で1度しか起こらなかったことが今足元で起きているんです。
あまり細かいことを考えずにこの現象だけをみると、買い残、売り残が逆転して、
いわゆる信用倍率が1倍を割り込むような状況になると株価は底入れ反転に向かうという傾向が見られるわけですが、これを細かく見ていこうというわけです。
これは一番足元です。信用買い残が9,000億円を割り込んでいます。
途切れているところは年末ですのでデータがありません。
前回起こりましたのが01年末から02年にかけてという状況ですね。
このときは4カ月ぐらい売り残が買い残を上回るという、いわゆる売り長の状態が続きました。これはかの有名な9.11でITバブル崩壊からアメリカが厳しい状況にあって、そして1回信用倍率が1倍割れという局面があったことでとりあえず1回浮上するのかもしれませんが、しかしその後、アフガン戦争の問題、それから中国のサーズ、あるいはエンロン問題、日本では不良債権問題もありまして、株価はまたへこたれてしまったという状況であります。
そしてこれに続く形で、次の局面なんですが、ここではニアミスなんですが、買い残、売り残が逆転はしなかったんですが非常に近い水準までいきました。
そして非常に有名な、前回のバブル崩壊後の日経平均の安値、03年4月の末につけた
8,000円割れの局面でありますね。若干タイムラグがありますが、このような状況が起こるとその後に株価は大きな上昇がある。このときは03年5月にりそなに公的資金が注入されて、そこから株価の上昇に弾みがついたということになっています。
そして、さらに遡って、97年、98年のときにも、同じような、逆転ではないのですがニアミスという状況が起こっています。ロシアのルーブル危機、ここで1回ニアミスが起きています。そしてその後ITバブルが始まって、ご存知のようにソフトバンクと光通信だけで信用買い残が7,000億円台から4兆円近くまであっという間に駆け上ってしまったという、大変な株価の上昇が起きたわけですね。
これを元に戻して、今回どのようなことが起こるかということですが、
買い残、売り残が逆転するということが株価の底入れ反発の必要条件ではないように思うんですね。冷静にみると上がったり下がったりしているのは買い残の方であって、
売り残というのは多少のブレはあるんですが、なだらかなものなんです。
要は買い残が、誰も株なんか買いたくないという状況がこういうところに訪れて、
その結果、陰の極から株価の大きな反転が、歴史的な底入れが起こるという状況です。
それが今足元で起こりつつある。明日、明後日底入れを示すというものではありませんが、長い目でみると大きな、何かのきっかけになっているのかもしれないと思う次第であります。
岡崎氏:
株価が上昇してきましたので、今週はこんな分析を試みてみました。
日本株の前にアメリカ株が本当に底を打ったか確かめてみようという試みです。
アメリカの株は長い歴史がありますから、調べてみると大体株価が底を打つときというのはこの3つのパターンなんです。
1つはV字型。これはショックと言われるものが1回で済むというパターンです。
次はW字型。ダブル・ボトム型ですね。2回底値を確認しに行くパターンです。
回数でいうとこれが非常に多いんですね。
3つ目が新しい言葉ですが、HS(ヘッドアンドショルダー)型、それの逆さまの形なんですけどもね。日本でいうと逆三尊というんですが、3回確かめにいくという展開なんです。どんなものか見てください。
これは歴史的な暴落を過去14回拾ってきてそのときのパターンがVかWかHSか
を見たものなんですが、まず右上の方は世界大恐慌の頃ですね。W型に回復しています。
その右側38年はHS型です。そして49年、戦争が始まるときです。V字型です。
46年の戦争が終わった年はちょっと変形したHS型です。
次は57年、私はダブル・ボトムではないかと思うんですが、こういう形です。
そして62年もダブル・ボトム。66もWの形。70年もW。このあたりはダブル・ボトムが多いですね。
次、オイルショックの74年もWの形ですね。そして82年。これはメキシコ危機のときなんですが、私はV字型かなと思います。そして87年。ブラックマンデーですね。
W型。そして90年は湾岸戦争の時代です。HS型。だんだん現代に近づいてきました。
そして98年のロシア危機はWの形。そして一番新しいITバブル崩壊のときはHS型。
これは3回トライしましたよね。同時多発テロがあって、会計不振問題、それからイラク戦争というものがありました。さて、今回はどんなパターンになるのか。
それにはもう一つ、新しいチャートを見なくてはいけないんです。
そのチャートは何かというと、ボラティリティーのチャートなんですね。
この番組でも何回かお話していると思いますが、VIX、ボラティリティーインデックスという取引がアメリカで行われていて、帽子の形にVIXと、ヤフーなどの検索画面で打ってもらうとプライスが出てくるんですが、これが市場で取引されているオプション価格から算出された株式市場のリスク値なんですね。それをわかり易く言うと、
市場参加者が支払っている保険料、これ以上相場が下がると困るからお金を払ってでも
価値の下落を食い止めたいというお金なんですね。
実際にマーケットの例を見て説明していきます。
まず、これは90年の湾岸戦争のときの株価の動きです。
先ほどお伝えした通り、HSの形でマーケットはボトムアウトしました。
このときボラティリティーがどのように動いたかというとこういう画になります。
ちょうど逆の動きをしていきます。
このボラティリティーの動きをチャートっぽく見たいんですが、ここにサポートラインを引いてみます。
このサポートラインをよく見てください。途中で11月ぐらいにブレイクしているところがありますね。どうやらこの辺りで、もう保険料を払わなくてもいい、もう安心して見ていられるんだという具合に市場参加者が考え方を変えたところなんですね。
ただ、その後実際に1月から湾岸戦争が始まって、もう一回下値を試しにいき、ボラティリティーは上がるんですが、その時はボラティリティーの高値更新、あるいは株価の安値更新には至っていません。そして株価は戻っていくというようなパターンなんですね。
次にロシア危機を見てみましょう。
ロシア危機のときはダブル・ボトムで株価を底打ちましたが、
ボラティリティーはこちらです。ダブル・トップの形でピークをつけているんですね。
こちらもボラティリティーの動きをチャート分析っぽく見ていきたいんですが、
サポートラインを引くとネックラインと呼ばれる大事なポイントがあります。
これをブレイクした辺りから株式市場のほうは上昇していくという展開です。
次はITバブル崩壊のときです。HSの形です。
3回下値を試しにいくんですね。このときのボラティリティーの動きはこういう形です。
このときのボラティリティーの動きはこういう形です。
これもだんだん切り下がっているんですが、3回試しにいっています。
こちらも大事なところはこのラインです。
このラインを切ったあたりから、だんだん最悪期は脱したんだろうなという感じです。
その後イラク戦争の始まるときにもう1度下値を試すんですが、その時は逆にボラティリティーはピークを越えないという状況なんですね。
このボラティリティーのチャートを平行して分析しながら今回の株式市場の動きをもう1度観察してみましょう。
これは昨年のリーマンショック以降の株価の動きですが、こちらにボラティリティーの動きを重ねてみます。
今回はさすがにみぞうの金融危機、80%までボラティリティーが上がりました。
しかし、このボラティリティーの動きもよく見ると高値でのサポートラインがあります。
それがこちらです。大体38.5%のところがここまでなかなか切れなかったんですが、
木曜日についにこれが36.5%まで下がってきました。ここに注目したいと思うんで
すね。ただもちろんボラティリティー36.5%というのはまだまだ高い水準です。
油断大敵なんですけれども、過去の例でいうとボラティリティーが下がり初めたとい
うことは大底を打った可能性は高いです。ただ、HSのパターンになるんではないかな
と私は思っていて、V字ではなく、Wの形でもなく、3回テストを
しにいくようなパターン。まだまだ残された問題が多いじゃないですか。
GMの問題とか、金融危機のリスクも本当に無くなったかどうかわかりませんよね。
確かに大きな危機は去ったと思うんですけれども、再度、試す局面があって、ただその
ときの下げ方はあまりひどくはないんじゃないかなと、そしてその判断をするのは
ボラティリティーが低下しているかどうか、その結果こうした時間を経て株式市場は
本格的な上昇トレンドに入っていく。そんな風に期待をして見ていきたいなと思っ
ています。
先ほど36.5%まで下がったとお伝えしましたが、実際には25%ぐらいまで下がら
ないとだめなんです。まだもう少し時間はかかると思います。